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2014年1月11日 (土)

正暦寺 菩提酛

20140111_bodaimoto_01 奈良市にある正暦寺は現代の清酒製造の礎となった菩提酛醸造発祥の地です。

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 室町時代より江戸時代に至るまで僧坊酒(菩提泉)を造り続け、近代醸造の

   三段仕込み

   諸白造り

を確立してきた他に、安全醸造の基本となっている乳酸菌を活用した酒母を生み出すことにより、夏期醸造までも可能にしました。

 他では出来ない夏期醸造を可能としたということで、世間にお酒がなくなる立秋の頃から造りをでき、月見の季節にお酒を市場に出せたことから非常に潤ったということです。当時の記録では、一年に銀三百貫目を本山である興福寺に上納していたということで、今の価値にざっと換算すると、上納金だけで15億円から20億円に達していたのではないかとのことです。

 その結果、最盛期には120ヶ寺がこの地にあったそうです。

 しかしながら、金の集まる所、不逞の輩も集まることとなり、江戸時代には風紀の乱れもあり、徳川幕府に弾圧(経済封鎖)されたそうです。 その結果として菩提酛も廃れてしまったとのことです。

 1995年より奈良県工業技術センターと奈良県下の蔵元有志が研究を始め、1999年に復活させ、以降、毎年一月に、この正暦寺で酒母(菩提酛)を造り、有志の蔵元がその酒母からお酒を醸されています。

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 そして、一月の第二週頃に“菩提酛まつり”として、酒母造りの最終段階が公開されています。

 菩提酛の特徴は、乳酸水を作り出す工程にあります。

 最初の二日間、 ごはん1升に生米9升の割合で抱かせて浸漬しておくという工程があります。ここで、正暦寺に住み着いている乳酸菌が培養され、「そやし水」という乳酸水ができます。 この日は500リットルくらいのそやし水が作られたそうです。

20140111_bodaimoto_04                         そやし水


 この乳酸水が、野生の雑菌からお酒を守ってくれるため、安全に醸造できるということです。

 また、このそやし水を造る過程で使ったお米は、そのまま蒸し、いわゆる蒸米として酒母の原料となります。

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 このお米が蒸されているとき、辺りには乳酸成分の少し酸味のある香りが漂います。

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 蒸気圧力は、1.04MPa なので、おおよそ101度くらいの蒸気温度です。

 蒸し上がったお米は、放冷のため、地面に並べられます。

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 使われるお米は、奈良県産のヒノヒカリで、精米歩合は70%です。

 ヒノヒカリは飯米ですが、正暦寺近くの菩提山町産で、菩提仙川の水で育てられたお米です。菩提酛を復活する際に、そうしようと決められたとのことです。

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 お米が放冷されたら、いよいよ酒母造りです。

 菩提酛は、まず、ご飯五合と麹五合を混合したベースをつくります。

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 そして、そこにそやし水、麹、蒸米を投入していきます。

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 蒸米の投入には、まさに気迫を感じます。

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 品温を計りながらの蒸米の混合はまさに力仕事。

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 全ての投入が終了したら、最後に再びご飯五合と麹五合を混合してばらまき、仕込みは完了します。

 この後で、正暦寺のお坊様による醸造祈願がなされます。

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 このようにして造られるお酒。

 室町の代から営々と営まれてきた人の営みに感動すると共に、目に見えない微生物の働きをこのように生かす人の知恵にも感動します。

 菩提酛を復活して十五年目にあたる、この日、十五年前、すなわち復活第一号となる菩提酛で醸された封印酒が振る舞われました。

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 十五年という眠りから覚めたお酒は、まさに黄金色。 甘みと酸味、そして、時だけが生み出すことの出来る旨み。 全く老ねを感じさせない、若々しい味には驚かされます。 柳生にあった、「春の坂道」というお酒を醸されていた錦生醸造さんが醸されたお酒です。

 錦生醸造さんは残念なことに廃業されましたが、造られたお酒は、時を超えて今でも黄金の輝きを放っていました。

 一年前に醸されたお酒を販売されていました。

 “つげのひむろ” というお酒を買いました。 もう少し寝かせてから飲もうと思います。

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