2014年4月 5日 (土)

美冨久 滋賀渡舟六号

20140405_mifuku_01

  • 醸造元       美冨久酒造株式会社[滋賀県甲賀市水口町西林口3-2]
  • 種類         山廃仕込純米酒
  • 原料米       滋賀渡舟六号
  • 精米歩合      60%
  • 酵母         滋賀県工業技術総合センター IRCS YS-001
  • アルコール度数  15度
  • 日本酒度      +1
  • 酸度         2.2

 2014年3月15日に開催された美冨久酒造さんの蔵祭りで購入したお酒です。 色々と試飲させていただいて迷ったなかでこれにしました。 

 「渡舟」という郷愁をさそう名前のお米。 山田錦の親にあたるお米ですが、渡舟そのもので造られたお酒はなかなか口にすることができません。

 この渡舟六号というお米も滋賀県が保有していた種籾をもとに平成 16年に復活させたそうです。

 まず色は深い黄金色。 香りも複雑な香味が漂ってきますが、さっと慣れてしまう潔い香りです。

 冷やで口に含むと、色と香りが物語るように奥行きの深い味が広がります。 ただ、香りと同じようにさっと引いていく潔さが感じられます。

 燗をしてみましたが、冷やの方がお酒の良さを引き出させるように思いました。 
 

2014年3月30日 (日)

小笹屋竹鶴 宿根産雄町 純米原酒 

20140330_taketuru_01

  • 醸造元      竹鶴酒造株式会社[広島県竹原市本町3-10-29]
  • 種類        純米原酒
  • 原料米      竹原産宿根産雄町100% (奥元忍氏)
  • 精米歩合      65%
  • 酵母        協会701号
  • アルコール度数  19度
  • 日本酒度     +4
  • 酸度        2.5
  • 杜氏        石川達也氏
  • 醸造年度     2012年(平成24年)

 最近、竹鶴人気もあり、なかなか長期間寝かせたお酒が品薄ということで、竹鶴にしてはまだ若いお酒を買いました。

 最初は冷やでいただきましたが、口に含んだ瞬間、 嬉しい不意打ちというか想像していた以上に美味しく感じました。

 いつも飲む竹鶴と比べると非常にマイルドです。 甘みと酸味がほどよくバランスしていて本当に優しく感じました。 燗にしても好いのですが少し飲んでいると、再び冷やに戻っていました。

 仕事で疲れたときに、少しこのお酒を飲めば元気になれる。そんなお酒です。

 ところで、このお酒の原料米を作っておられた奥元さんがリタイヤされたそうで、宿根産の雄町を使ったこのお酒は、この24BYをもって当分は造られないそうで残念です。

 

2014年3月15日 (土)

美冨久酒造

 美冨久酒造さんは、東海道五十三次50番目の宿場町 水口 にあり、蔵も旧東海道に面しています。

周りは一面の田園地帯です。

20140315_mifuku_01

 旧東海道をまたいで蔵はあります。

20140315_mifuku_02

 東に鈴鹿山系が控え、その伏流水を利用した酒造りをされています。

 蔵は、最盛期に3000石の造石があったというだけあって、非常に大きなものでした。

20140315_mifuku_03

 蔵の一本、一本の梁が物語るように歴史と格式を感じさせてくれます。

20140315_mifuku_04

 美冨久酒造さんは、山廃仕込にこだわりをもっておられますが、この重厚な建物に酒造りを支える乳酸菌が棲み着いているのでしょうか。

 この日は、既に甑倒しを終えられていて、今期の役割を終えた、釜と放冷器が静かに鎮座していました。
20140315_mifuku_05
 麹室ですが、なんと、外観は煉瓦積みです。

20140315_mifuku_06

 中も綺麗に清掃されて次の造りを待っているかのようでした。

20140315_mifuku_07

 酒母タンクは、大きな部屋に大切に祭られているようでした。

20140315_mifuku_08

 仕込みタンクが置かれた部屋では、なんとも言えない香りが満たされていました。

20140315_mifuku_09

 初めて美冨久酒造さんのお酒を飲んだのが、信楽の「ほろ酔いうつわと地酒展」で販売されていた大吟極醸だったこともあり、軽快な酒質のお酒を造られるのかと思っていて、そのことを試飲、販売コーナーでお話させていただくと、蔵としては山廃仕込による濃淳なお酒が多いけれども、若い人がとっつき安いように、大吟極醸のようなお酒も大切にしているとのことでした。

20140315_mifuku_10

2014年1月11日 (土)

正暦寺 菩提酛

20140111_bodaimoto_01 奈良市にある正暦寺は現代の清酒製造の礎となった菩提酛醸造発祥の地です。

20140111_bodaimoto_02

 室町時代より江戸時代に至るまで僧坊酒(菩提泉)を造り続け、近代醸造の

   三段仕込み

   諸白造り

を確立してきた他に、安全醸造の基本となっている乳酸菌を活用した酒母を生み出すことにより、夏期醸造までも可能にしました。

 他では出来ない夏期醸造を可能としたということで、世間にお酒がなくなる立秋の頃から造りをでき、月見の季節にお酒を市場に出せたことから非常に潤ったということです。当時の記録では、一年に銀三百貫目を本山である興福寺に上納していたということで、今の価値にざっと換算すると、上納金だけで15億円から20億円に達していたのではないかとのことです。

 その結果、最盛期には120ヶ寺がこの地にあったそうです。

 しかしながら、金の集まる所、不逞の輩も集まることとなり、江戸時代には風紀の乱れもあり、徳川幕府に弾圧(経済封鎖)されたそうです。 その結果として菩提酛も廃れてしまったとのことです。

 1995年より奈良県工業技術センターと奈良県下の蔵元有志が研究を始め、1999年に復活させ、以降、毎年一月に、この正暦寺で酒母(菩提酛)を造り、有志の蔵元がその酒母からお酒を醸されています。

20140111_bodaimoto_03

 そして、一月の第二週頃に“菩提酛まつり”として、酒母造りの最終段階が公開されています。

 菩提酛の特徴は、乳酸水を作り出す工程にあります。

 最初の二日間、 ごはん1升に生米9升の割合で抱かせて浸漬しておくという工程があります。ここで、正暦寺に住み着いている乳酸菌が培養され、「そやし水」という乳酸水ができます。 この日は500リットルくらいのそやし水が作られたそうです。

20140111_bodaimoto_04                         そやし水


 この乳酸水が、野生の雑菌からお酒を守ってくれるため、安全に醸造できるということです。

 また、このそやし水を造る過程で使ったお米は、そのまま蒸し、いわゆる蒸米として酒母の原料となります。

20140111_bodaimoto_07

20140111_bodaimoto_05

20140111_bodaimoto_06

 このお米が蒸されているとき、辺りには乳酸成分の少し酸味のある香りが漂います。

20140111_bodaimoto_08

 蒸気圧力は、1.04MPa なので、おおよそ101度くらいの蒸気温度です。

 蒸し上がったお米は、放冷のため、地面に並べられます。

20140111_bodaimoto_09
20140111_bodaimoto_10
 使われるお米は、奈良県産のヒノヒカリで、精米歩合は70%です。

 ヒノヒカリは飯米ですが、正暦寺近くの菩提山町産で、菩提仙川の水で育てられたお米です。菩提酛を復活する際に、そうしようと決められたとのことです。

20140111_bodaimoto_11
 お米が放冷されたら、いよいよ酒母造りです。

 菩提酛は、まず、ご飯五合と麹五合を混合したベースをつくります。

20140111_bodaimoto_12

 そして、そこにそやし水、麹、蒸米を投入していきます。

20140111_bodaimoto_13_2

20140111_bodaimoto_13_3

 蒸米の投入には、まさに気迫を感じます。

20140111_bodaimoto_13

 品温を計りながらの蒸米の混合はまさに力仕事。

20140111_bodaimoto_13_4
20140111_bodaimoto_14
20140111_bodaimoto_15
 全ての投入が終了したら、最後に再びご飯五合と麹五合を混合してばらまき、仕込みは完了します。

 この後で、正暦寺のお坊様による醸造祈願がなされます。

20140111_bodaimoto_16
 このようにして造られるお酒。

 室町の代から営々と営まれてきた人の営みに感動すると共に、目に見えない微生物の働きをこのように生かす人の知恵にも感動します。

 菩提酛を復活して十五年目にあたる、この日、十五年前、すなわち復活第一号となる菩提酛で醸された封印酒が振る舞われました。

20140111_bodaimoto_17
20140111_bodaimoto_18

 十五年という眠りから覚めたお酒は、まさに黄金色。 甘みと酸味、そして、時だけが生み出すことの出来る旨み。 全く老ねを感じさせない、若々しい味には驚かされます。 柳生にあった、「春の坂道」というお酒を醸されていた錦生醸造さんが醸されたお酒です。

 錦生醸造さんは残念なことに廃業されましたが、造られたお酒は、時を超えて今でも黄金の輝きを放っていました。

 一年前に醸されたお酒を販売されていました。

 “つげのひむろ” というお酒を買いました。 もう少し寝かせてから飲もうと思います。

20140111_bodaimoto_19

20140111_bodaimoto_20

蒼空 特別純米 短稈渡船

20140111_soku_01

  • 醸造元       藤岡酒造株式会社[京都府京都市伏見区今町672-1
  • 種類        特別純米
  • 原料米       短桿渡船二号
  • 精米歩合     60%
  • アルコール度数  17度
  • 杜氏        藤岡正章氏

 
 山田錦のお父さんとなる酒米、短桿渡船で醸されたお酒です。 さらに言えば、雄町の改良種で醸されたお酒ということになります。 山田錦は言わずもがな、雄町を使ったお酒はよく見かけますが、短桿渡船のお酒は希です。

 2012年8月5日に三条の浜町さんで行われたお酒の会で飲ませて頂き、その芳醇な味が印象に残っていたお酒で、伏見に出掛けた際に蔵元で販売していたものを購入。このお酒は9月から販売されて一定の期間しか出回らないそうです。

 上立ち香は、強くはないですがしっとりとした甘い香りがします。 この時点で、このお酒がトロリとした質感のお酒であることが感じられます。

 口に含むと、期待を裏切ることはありません。 甘みと辛みが調和した、なんとも心地よいお酒です。

 生酒ではありますが、栓を開けた翌日に飲むと、香りは少なくなっているものの、口に含んだ時の膨らみは満開に感じました。 少々、こってりとした料理とも相性の良いお酒です。

2014年1月 3日 (金)

富士山世界遺産登録記念ラベル付 獺祭磨き二割三分

20140103_dassai_01

  • 醸造元      旭酒造株式会社
  • 種類        純米大吟醸
  • 原料米      山田錦
  • 精米歩合     23%
  • アルコール度数 16度

 2013年5月12日に開催された京都獺祭の会で注文して送られてきたお酒。

 このお酒の販売代金は全額を日本ユネスコ協会に寄付され東北支援に当てるという趣旨の下で販売されました。

 購入後、旭酒造さんから、丁寧なお礼状もいただきました。

20140103_dassai_02



 このお酒の凄いところは、お米を23%にまで磨いているところです。ここまでお米を磨くには七昼夜を要するとのことです。 丹精込めて作られた貴重な山田錦を67%削り捨てて作られたお酒です。 心していただきました。

 上立ち香は、二割三分磨きという言葉から想像されるほと強くなく、上品な桃のような香りが漂ってきます。

 口に含むと、さすがに軽い口当たりです。スルッと入ってきて、暫くしてからアルコール感が、爽やかな味とともに広がってきます。 一言で言えば、“花開く”という感じでしょうか。そして、すぐに潔く散っていきます。

 桜吹雪の中でいただきたいお酒でした。

2014年1月 1日 (水)

純米大吟醸原酒 春鹿(限定品)

20140103_harushika_01_2 

  • 醸造元     今西清兵衛商店[奈良市福智院町24-1]
  • 種類       純米大吟醸
  • 精米歩合    50%
  • 杜氏       古川武志氏

 2013年6月の春鹿寄席の際に買ったお酒。
 すぐに飲もうかどうか迷いながら、結局半年間、寝かせてしまいました。

 正月の姉の家とのパーティで披露。

 半年間寝かせた結果かもしれませんが、春鹿にしては、“とろーり” とした質感のお酒でした。 味の方も、しっとりと落ち着いた味で、馴染みのある華やかな春鹿とは一線を画していました。
 

 義兄の言葉を借りると、噛むように飲めるお酒。

 とても好評で、あっという間になくなってしまいました。

 

2013年11月 3日 (日)

春鹿 零下二百十日熟成 純米吟醸生原酒

20131103_harushika_01

  • 醸造元       今西精兵衛商店[奈良市福智院町24-1]
  • 種類        純米吟醸生原酒
  • 原料米       山田錦
  • 精米歩合      55%
  • アルコール度数 17度
  • 日本酒度     +3
  • 酸度        1.4
  • 杜氏        古川武志氏

 昨年、春鹿寄席で振る舞われて、とても美味しいと感じたお酒です。 氷点下で210日間熟成させた生原酒。 贅沢なお酒です。

 春鹿らしい、柔らかいフルーツを思わせる香り。 口に含むと、最初は香りの余韻が引き続き、鼻孔をくすぐりますが、不思議なくらい落ち着いた味わいになり、のど元に入るときにはお米の旨みと原酒らしいしっかりとしたアルコール感を感じます。

 華やいだ楽しい場所で、乾杯に使いたいと思えるお酒です。

2013年8月17日 (土)

竹鶴を楽しむ会 (2013年)

 今年も、昨年に引き続き、京都、三条猪熊町にある原田商店さん主催で行われる杜氏の石川達也さんを招いての「広島の酒 竹鶴を楽しむ会」 に参加させていただきました。

20130817_taketsuru

 今回は、木屋町にある「酒菜ばんから」さんで行われました。 京都は暑い一日でしたが、鴨川のほとりだけは涼しい風が吹き抜けていました。

20130817_taketsuru_02
 ずらっと並ぶ一升瓶。 この一升瓶にも面白い話しがありました。

 火入れされたお酒を一升瓶に入れると、最初は、水面はもっと上にあるそうです。そして、王冠をして、お酒が覚めてくると、体積が減少して、瓶の上部に真空部分が出来るとのことです。結果として、王冠の密着度が高まり外の空気の侵入を防ぐそうなのです。 スクリュー栓が多い四合瓶では、このような効果が期待しにくいので、王冠の方が理想的な密封方法だそうなのです。

 王冠の取り扱いがいつも不便(栓を抜いたときに落としたり、内側の栓に手が触れたり・・・)を感じていたので質問したのですが丁寧に教えて頂きました。

 今日、飲んだ、「秘傳」。 このお酒は昭和45年に発売されたお酒で、その後の竹鶴のルーツになっているお酒とのことでした。 石川杜氏は昭和39年生まれだとのことなので、ロングセラーのお酒です。

 途中、田崎真也さんの話題になって、石川杜氏が神亀酒造さんで修行されていた時に田崎真也さんが蔵を訪れたそうです。 そのとき、七号酵母と九号酵母でできた二種類のお酒を試飲してもらいどちらが美味しいか聞いた際に「九号」をとられたので、石川杜氏としてはニヤッとされたそうです。

 まぁ、こんな話しをしながら、あっという間に時は過ぎていきました。

 今年も石川杜氏の温かい人柄に触れることのできた一時でした。

2013年6月23日 (日)

純米吟醸 紀伊國屋文左衛門

20130623_kinokuniya

  • 醸造元       中野BC株式会社[和歌山県海南市藤白758-45
  • 種類         純米吟醸
  • 原料米       山田錦 23%    雄町 77%
  • 精米歩合      麹米 55%   掛米 60%
  • 酵母         9号系酵母
  • アルコール度数  16度
  • 杜氏         河嶋雅基氏

 

 中学時代の恩師のお嬢さんが中野BCさんに勤めていることもあり、「日本酒が好きならば・・・」ということで、贈っていただいたお酒です。

 まずは上立ち香。 9号系酵母とは思えないくらい穏やかな心地よい香りです。

 口に含むと、香りとは異なる甘みが花開いていきます。

 ここで気づいたのですが、底流に流れている味のタイプが以前、飲んだことのある徳島の三芳菊や鳴門鯛と同質に思いました。紀伊水道を挟んで向かい合う和歌山と徳島。 どこか似たところがあるのかもしれません。

 贈って下さった恩師に感謝しながらいただきました。

2013年6月22日 (土)

日本酒を楽しむ会 with 斉藤酒造さん

20130622_saitosyuzo
京都、三条猪熊町にある原田商店さん主催で、斉藤酒造の取締役、藤本さんを招いての「日本酒を楽しむ会」。

20130622_saitosyuzo_02_2 京都堀川商店街にある「むかしとった杵づか」さんで、今が旬の鱧をメインにしたお料理とともに楽しみました。

 原田商店さんでは、酒有夢(さけありてまどろむ)というお酒を看板商品にされており、そのお酒を醸されているのが、斉藤酒造さんです。

 また、今日は、その酒有夢の名付け親でもある、大崎商店さんの大崎さんもお見えになっておられました。


 本日の、お酒のメニューです。

20130622_saitosyuzo_03
20130622_saitosyuzo_04 最初の乾杯酒でもある、「酒有夢 スパーリングタイプ」は、この会のために特別に用意していただいたものです。

 瓶の中で、まだ酵母が活性しており、少しずつ、栓を開いては閉め、開いては閉めながらガスを抜くという作業を、藤本さん自ら行って振る舞って下さいました。

 斉藤酒造さんでは、全国新酒鑑評会で14年連続金賞受賞され、平成23年は残念がら入賞にとどまったものの、平成24年は再び、金賞受賞されています。
 

 そして、本日は、その金賞受賞したのと同じお酒を持ってきて下さいました。

20130622_saitosyuzo_05

 このお酒は、受賞酒と同じ斗瓶取りされたものだそうで、とても貴重なお酒とのことでした。 王冠には、この斗瓶から取り出された順番のマーキングがされていました。

20130622_saitosyuzo_06

 この会で意外で面白かったのは、斉藤酒造さんが金賞を逃された平成23年のお酒の評判が良かったことです。 利き酒で美味しいお酒と、料理を楽しみながら飲むお酒の違いでしょうか。

 藤本さんにも沢山お話を伺うこともでき、色々と勉強になった会でした。


2013年5月12日 (日)

京都獺祭の会

 今日は、京都獺祭の会に参加しました。

20130512_dassai_01 会場は、御所の近くにある京都ブライトンホテル。 会場に入ると、ヴァイオリンの演奏で、開宴前の雰囲気を盛り上げておられました。

 獺祭は、山口県は岩国市周東町にある旭酒造株式会社の造り酒屋さんです。 垂れ幕には「山口の山奥の小さな酒屋」と書かれています。 しかし、今や、通年醸造で1万 6千石の生産能力を誇る、とても「小さな」という形容はできない大きな蔵です。

 とは行っても、それは、社長の櫻井さんが、地道にブランドを確立してきたが故で、社長に就任された当初は700石という、まさしく「小さな酒屋」さんでした。

 そして、現在では、全量が純米大吟醸という希有な蔵なのです。 この蔵の舵を取られている櫻井社長にもお会いできるのが楽しみで参加しました。

 

20130512_dassai_02 開宴となり、まずは、櫻井社長の挨拶です。

 色々と興味深いお話を伺うことができました。

 一つは、社長が京都駅に着かれた時、大河ドラマ「八重の桜」のBGMが流れていたそうですが、長州の酒蔵として、少し複雑な気持ちだったというお話。

 そして、もう一つは、同じ長州出身である安倍首相と話しをしたときに、一つお願いをしたそうです。それは、米の減反政策から酒造好適米を除外して欲しいお願いしたというお話でした。なんでも、旭酒造さんでは、昨年、43000俵の山田錦を調達しようとしていたにもかかわらず、40000俵しか調達することができず、その理由が「減反」によるものだったとのことです。

 今、どこの蔵も山田錦を欲しがっており、需要は極めて高いにもかかわらず、一律の減反政策で山田錦を作っている農家も減反せざるを得ず、結果として、獺祭も求める人がいるのに飲んでいただけないという何のための減反政策なのかというお話でした。

 さて、宴が開かれ、ブライトンホテルの料理に合わせて、次のような色々な獺祭を頂きました。

20130512_dassai_03

 そして、リストに載っていないお酒として、「その先へ」というお酒を一人一杯限定で頂くことができました。 現在、獺祭の中でも最高級品は、「磨き二割三分」ですが、その先を目指して開発してきたものだそうです。価格も四合瓶で30000円になるとのことでした。

 
 この時、失敗したのが、このお酒を、他のお酒で結構、酔った段階で頂いてしまったことでした。一言で言えば「きれいすぎる」お酒でした。本当なら、早い段階でいただけば、もう少し明確に味が分かったのかもしれません。少々残念。

 いずれにしても、同じテーブルに陣取った方達も、獺祭が好きな方ばかりで、楽しく獺祭を堪能できた一日でした。

 帰りは、櫻井社長がおっしゃられた長州の話しを想い出しながら京都御所を散策して家路につきました。

20130512_dassai_04


 

2013年4月13日 (土)

純米吟醸 半蔵

20130413_hanzo_01

  • 醸造元      株式会社大田酒造[三重県伊賀市上之庄1365番地の1]
  • 種類        純米吟醸
  • 原料米      伊賀産山田錦
  • 精米歩合     55%
  • アルコール度数 15~16度
  • 日本酒度     +1
  • 酸度        1.6
  • 杜氏        上田忠弘氏(但馬)

 2013年2月23日の蔵開きに合わせて蔵本を訪れた際に購入したお酒。

20130413_hanzo_02 太田酒造さんの蔵開きは地元に密着したほのぼのとした楽しい蔵開き。

 特に、尾鷲産のカタクチイワシ。

 売り子さんが、軽妙な呼びかけで試食させて下さります。

 実際、これを口にすると絶品でお酒にあいます。

 

 さて、上立ち香は、ほんのりと甘いフルーツの香り。 このお酒は冷えていた方が、すっきりとした香りが立つようです。

 

 口に含むと、日本酒度が +1 と微妙に甘めなところもあり、最初は甘みが勝りますが、途中から、徐々に辛みが立ってきます。 やはり、雪冷え程度の温度が、このお酒の良さが現れるようです。

2013年3月 2日 (土)

純米大吟醸 春鹿 蔵出限定品

20130302_harushika_01

  • 醸造元       今西精兵衛商店[奈良市福智院町24-1]
  • 種類        純米大吟醸 生酒
  • 原料米       山田錦
  • 精米歩合     掛米 35%  麹米 40%
  • アルコール度数 16度
  • 杜氏        古川武志氏

 2013年2月16日に行われた春鹿寄席で、覗いたショーケースにあったお酒。 蔵出限定品という文字に惹かれて購入。

 
 
 上立ち香。 これぞ春鹿と感じさせてくれる、リンゴとメロンの香りがふわっと立ち上がってきます。 気持ちが明るくなる・・・ そんな香りです。
 

 口に含むと、心地よい香りがそのまま凝縮されたような香り高く、そして、生酒らしいフレッシュ感がありました。 桜の季節にお花見に持って行きたい。 そんなお酒です。

 

2013年1月12日 (土)

一ノ蔵 特別純米酒 大和伝

20130112_ichinokura_01

  • 醸造元      株式会社一ノ蔵[宮城県大崎市松山千石字欅14]
  • 種類        特別純米酒
  • 原料米      蔵の華(宮城県産)
  • 精米歩合     50%
  • アルコール度数 15~16度
  • 日本酒度     +1
  • 酸度        1.7

 2012年10月に東北旅行で南三陸町を訪れた際に山内鮮魚店さんで購入したお酒。

 お米を50%まで精米した贅沢な特別純米酒です。

 上立ち香は東北のお酒らしい、控えめですっきりとした軽やかな香り。さすがに50%まで磨かれたお米を使っているからでしょうか。上品できめ細かい香りです。

 口に含むとまずは甘い香りが広がります。 香りに比べても甘さが引き立っていました。そして、その後に滋味豊かな味わいが押し寄せてくるお酒でした。

 このお酒は一年の熟成を経ていますが、一年の重みというものを感じさせる力強さがあるように思いました。

2013年1月 3日 (木)

小笹屋竹鶴 純米大吟醸 原酒

20130102_taketuru_01

  • 醸造元      竹鶴酒造株式会社[広島県竹原市本町3-10-29]
  • 種類        純米大吟醸原酒
  • 原料米      兵庫県産山田錦
  • 精米歩合     40%
  • 酵母        熊本(KA-1)
  • アルコール度数 15~16度
  • 杜氏        石川達也氏
  • 酒造年度     1999年(平成11年)

 2012年8月11日に京都の原田商店さんで「竹鶴を楽しむ会」に参加させて頂いた際に、それこそ清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入したお酒です。

20130102_taketuru_02

 1999酒造年度に醸され、瓶貯蔵されていたお酒です。 お正月のお酒としていただきました。

 瓶を光に透かすと、微かに澱も浮遊しています。

 どのような色? どのような香り? と期待を抱きながらも恐る恐る開栓。

 意外にも、色は4年熟成のお酒と殆ど変わりませんでした。 高貴な雰囲気を醸し出す美しい黄金色です。

 上立ち香。 これも意外にも、爽やかな一陣の風が吹き抜けていくような甘い香り。 確かに竹鶴独特の複雑な様々な香りが入り交じった香りではありますが、これが十余年の歳月を経た竹鶴? と思わせるくらいに軽くて爽快な香りです。 不思議なものです。

 最初から燗にしましたが飲み口も驚きです。 なんて甘くてキレが良いのでしょう。 キレは良いのですが、余韻がいつまでも残ります。優しい手に包まれたような気分になれます。

 個人的には48度付近が好みの味でした。

 2000年に搾られているのでまさに13年もの歳月を経たお酒。 歴史の重みを感じるお酒でした。

2013年1月 1日 (火)

信濃鶴 純米大吟醸

20130101_shinanoturu_01

  • 醸造元      酒造(株)長生社[長野県駒ヶ根市赤須東10-31]
  • 種類        純米大吟醸
  • 原料米      長野県産美山錦
  • 精米歩合     39%
  • アルコール度数 16度
  • 日本酒度     +1
  • 杜氏        北原岳志氏

 2012年10月12日に木曽駒ヶ岳に登山した帰りに購入したお酒。

 名峰木曽駒ヶ岳の懐に抱かれた蔵のお酒です。

20130101_shinanoturu_02

 この蔵は、全量を地元の美山錦による純米酒を醸されています。 また、16基ある仕込みタンクは全てサーマルタンクという、これだけでも凄い蔵です。

 上立ち香は、甘いリンゴ様の香りがしますがとても優しい香りです。

 口に含むと、香りがそのまま味となって広がり、信州のお酒らしい爽快感につつまれますが、途中からしっかりとした米の旨みが感じられます。

 一口で感想を言い表すと・・・  「丁寧に丁寧に造られたお酒」 ということだと思います。 とにかく、香りからはじまり、後口にいたるまで肌理が細かいお酒だと思いました。 

 

2012年12月28日 (金)

真澄 山廃純米大吟醸 七號

20121228_masumi_01

  • 醸造元       宮坂醸造株式会社[長野県諏訪市元町1-16]
  • 種類         純米大吟醸(山廃造り)
  • 原料米       美山錦
  • 精米歩合      45%
  • 酵母        7号系酵母
  • アルコール度数 16度
  • 日本酒度     -1
  • 酸度        1.7
  • アミノ酸度     1.3
  • 杜氏        那須賢二氏・平林和之氏

 東北から信州へと旅した帰りに、前回、山花を購入させていただいた藤森酒店に寄って買ったお酒。

 協会7号酵母を輩出した蔵で、七号酵母を使って醸されたお酒です。

 お酒の持ち込みパーティに持っていたこともあり、じっくりと楽しむことはなかったのですが・・・

 上立ち香は、真澄らしい華やかでいてかつ上品なフルーツの香り。 香りだけでは山廃造りで醸されたとは思えません。

 口に含むと、まさしく信州の風を感じさせてくれるような清々しい味わいと香りが鼻を抜けていきます。 日本酒度が -1 と少し甘めな味わいを 1.7 という比較的高めの酸度と絶妙の調和しているようです。

 やはり、七号酵母のことを知り尽くした蔵のなせる技なんだなぁと感じさせてくれるお酒でした。

    

2012年12月16日 (日)

純米吟醸 霞浦禅

20121216_kasumiura_01

  • 醸造元       株式会社佐浦[宮城県塩竈市本町2-19]
  • 種類        純米吟醸
  • 原料米       トヨニシキ・山田錦
  • 精米歩合     50%
  • アルコール度数 15~16度
  • 日本酒度     +1.0 ~ +2.0
  • 酸度        1.3

 東北を旅した時に買ったお酒。 浦霞と言えば、上原浩先生の著書の中にも出てくるお酒ということで期待をふくらませて買いました。

 蔵元が京都の妙心寺の僧侶と話をして思いついたと言われるお酒で、まだ、世間一般的に吟醸酒に理解が無かった昭和40年代初頭から造り続けられてきた伝統のある銘柄のお酒です。

 蔵元のホームページを見ると、当時はまだ日本酒に級別制度があった時代であり、価格を抑えつつ吟醸酒を販売するには、特級酒ではなく一級酒にせざるを得なかったご苦労話なども書かれており興味深く読ませていただきました。

 上立ち香は、微かにフルーツの香りがします。ですが、本当に微かで上品な酒質を思わせます。

 口に含むと、端麗な中にも、生酛系のお酒を思わせるような味の複雑感も感じます。不思議な感覚でした。

 

2012年12月 8日 (土)

純米原酒 会津中将

20121208_aizucyusyo_01

  • 醸造元       鶴乃江酒造株式会社[福島県会津若松市七日町2-46]
  • 種類        純米原酒
  • 原料米       福島産米
  • 精米歩合     60%
  • 酵母        福島夢酵母
  • アルコール度数 17度

 京都のJR伊勢丹で試飲販売会をされている際に買ったお酒。 ちょうど、蔵元であり杜氏の林ゆりさんが来られていました。

 好みの酒質を聞かれて、火入れがしてあり、しっかりとした味のするものであることを伝えると、真っ先にこのお酒を勧めて下さいました。

 一口、いただいた時から、買うことを決めたお酒。 軽くなく、それでいて決して重過ぎない。気持ちよく、すぅーっと入ってくるお酒でした。

 会津中将とは、会津藩主保科正之公の官位にちなんだものだそうです。会津という一徹な風土ではぐくまれたこのお酒は、その風土を映し出しているのでしょうか、凛とした力強さの中にも深い慈愛のある味でした。

 酵母を伺うと、福島県で開発された福島夢酵母であることを教えて下さいました。恐らく初めて、この酵母で醸されたお酒を飲んだのだと思いますが、甘みと米の旨みがほどよく調和した美味しいお酒でした。

«諏訪泉 富田2008 精米五割