2019年3月 3日 (日)

「走り大黒天」を訪ねて-泉涌寺別院 雲龍院-

   NHK BSの『京都人の密かな愉しみ』という番組。ドラマ仕立てで、京都の風習や隠れた名所を、紹介していきます。四季折々の美しい映像で、見るとつい訪ねたくなります。たまたま見かけて、録画保存するほどはまってしてしまった我々。比較的、人の少なそうな所(?)を選んで、行ってみることにしました。

   泉涌寺の塔頭、雲龍院。東山の南の裾に位置します。駅から東福寺の塔頭の並ぶ閑静な界隈を歩き、大伽藍の並ぶ境内を早咲きの梅を見ながら通り抜け、京都一周トレイルの道標を頼りに泉涌寺へ。東山山麓の森の中を少し行くと、雲龍院の山門はありました。

 

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   門をくぐると、鐘楼の前に梅が咲き始めています。

 

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 鎌倉期1372年創建。南北朝時代、後円融天皇が妙法写経を発願し、以来、写経が盛んに行われてたのだそうです。写経体験を申し込めば、珍しい朱墨による写経が出来ます。Takaには練習が必要とかで、次の機会に

 本堂で薬師如来と日光月光菩薩に参拝し、蓮華の間や書院から眺める庭は、端正な風情ながら安らぎある佇まい。走り大黒天は、迫り来るような勢い精悍な気に充ちています。

 書院悟之間で抹茶をいただきます。

 

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悟りの窓から、ほころび始めた紅梅を眺めつつ、落ち着いた一時。

 

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  居合わせた僧侶の方が大黒天の由来を説明をして下さったり、順路の説明書きも分かり易く、受付の方々も親切で、お寺の側から参詣者に寄り添い、下りてきてくれるような、親しみ深い名刹でした。

2014年9月 7日 (日)

比叡山-坂本本坂から雲母坂-

20140907_hieizan_001  「目指せ!燕」訓練山行 第2弾。今週は、比叡山に行ってみることにしました。京都側、滋賀側、双方からいくつかルートがあります。中でも、滋賀の坂本を起点とする本坂は、開祖の最澄が辿ったとされる、いにしえの表参道。ここから登ることにしました。

 住吉大社の脇、大きな灯籠が左右に並ぶ立派な石段から山へと入っていきます。歴史を感じさせます。

 ほどなく南善坊というお寺に出ます。境内に立ち寄ると、お不動様の両脇を秋海棠が彩っています。初秋の気配です。

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20140907_hieizan_02_2 諸堂の屋根越しに琵琶湖が見えます。

 南善坊から垢坂の石段を登っていくと、ほどなく細い山道に出、さらに進むと、路面が自然の土のままの坂道が続くようになります。道幅が広く、参詣が盛んだったであろう往時が偲ばれます。歩きやすいのですが、雨水で中央の土が大きくえぐれているので、浸食のない両脇を辿ります。

 途中、数人とすれ違いましたが、皆ことごとく独り歩きの登山者。残暑が厳しいこともあり、近隣の方の訓練山行が多いのでしょうか。

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 小一時間で、延暦寺根本中堂に到着。拝観はせず(堂内の様子は、こちらのリンクをどうぞ)、茶屋で一服の後、阿弥陀堂の裏から再び山道に入って、最高地点の大比叡に向かいます。道が分かりにくいので、下りてくる人たちに尋ねながらの道行き。それでも途中、通り過ぎてしまったので、スマホの登山地図アプリを見ながら、ようやく大比叡に到着。京都の東北を守護する比叡山の山頂。鬱蒼とした杉木立の中に、三角点だけがひっそりとありました。

 

20140907_hieizan_05_2 京都側に下っていくと、北側に大原の里への眺望が開けます。ガーデンミュージアム前のバスターミナルの前からは、琵琶湖が見えます。ここからは、道案内の表示と地図を突き合わせながら、京都側に下山。千日回峰の修行道やら京都一周トレイルやらが入り交じって、ちょっと複雑。他の登山者の行く方向を見ながら、表参道、雲母坂へ。雲母坂に入ってほどなく、「尾根道」の表示があったので、歩きやすそうなそちらに進みます。木漏れ日の明るい、気持ち良い自然林の道。ふと下を見ると、苔むした岩の合間を深く彫り込んで、人一人通れるほどの細い道が走っています。う~む、そちらの谷道のほうが古めかしい風情ありげ・・・ 次は、そちらにしてみよう・・・

 1時間強で、修学院の雲母橋に到着。本日の行程を終えました。また道を変えて、来ることが出来ればと思います。

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2014年6月21日 (土)

紫陽花の矢田寺

 梅雨の晴れ間ならぬ曇りの1日、奈良屈指の紫陽花の名所、矢田寺に出掛けてみました。

 山域に入ると、塔頭の一つ、大門坊のお堂の前に沙羅双樹の花が咲いています。

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 本堂と御影堂にお参りして、紫陽花園を散策。矢田丘陵の谷がちな地形をよく活かしています。

20140621_yatadera_02                     色とりどり

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                      青の空間
 

20140621_yatadera_04                      森の情景

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 20140621_yatadera_06紫陽花園を出て、南僧坊で精進料理の昼食。大和盆地を見下ろす庭園もあって、ほっこりできます。

 境内には、丘陵を利用した八十八カ所霊場もあります。山頂には展望台もあるとか。一度、巡ってみたい・・・

 その後、バスで大和郡山まで戻り、ちょっとだけ城下町をぶらぶら。お城から、水路の残る紺屋町を歩きます。

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               資料館になっている箱本館「紺屋」

 

 散策の後は、奈良町に出て、恒例の春鹿寄席。

 本日の出演者はなんと4人 主催で創作と古典の2本立ての笑福亭純瓶さん、当代文枝作の創作を演じると右に出る者のいない桂三歩さん、勢いのある達者な話風の笑福亭べ瓶さん、若手の林家愛染さん。

 落語も交流会も盛り上がって、お開きとなったのでした。

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2014年5月17日 (土)

霊山寺のバラとスリランカ料理

 20140517_ryosenji_01_21週間遅れの母の日、Taka母様を連れて霊山寺のバラ園を訪ねました。真言宗のお寺にバラ。不思議な取り合わせですが、第二次大戦でシベリア抑留を経験した住職が平和を願って、寺の鬼門の方角に植えられたのだそうです。

 奈良には、他にもバラで名高い寺があり、うち「おふさ観音」ではバラの咲く庭を仏の世界に見立て「花まんだら」と名付けています。極楽浄土の花園なのですね。

  境内入り口には鳥居があり、神仏習合の大らかさが漂っています。

  バラ庭園に足を踏み入れると、色とりどりのバラが迎えてくれます。

  20140517_ryosenji_02            噴水オブジェとコラボ。設計は京大農学部。

 20140517_ryosenji_03                  華やかなアーチ。
            
  20140517_ryosenji_04                    色の饗宴。

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              喫茶室のテラスでバラのアイスクリーム。

 20140517_ryosenji_06                   空に向かって・・・

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                    陽光のごとく

 20140517_ryosenji_08                         艶やかな彩り。

 

20140517_ryosenji_09 バラを堪能した後は、国宝の本堂に参詣。鎌倉時代の建造です。

 寺院自体は、天平年間、孝謙天皇により建立。病気平癒を祈願したことにちなんで、境内には日帰り入浴の出来る薬師湯などもあります。真言密教の寺らしく、山道を辿って奥の院まで行くことも出来ます。またの機会に訪ねたいところ。

            お寺を出て、新緑の生駒山をドライブ。20140517_ryosenji_10

             遠くアベノハルカスが霞んでいます。 20140517_ryosenji_11
 締め括りは、山麓のスリランカ料理ラッキーガーデン。夕景から夜景へと変わっていく大和盆地を眺めながら、朝採り野菜とスパイスの効いた料理を味わいました。皆にとって充実した母の日でした。

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2014年5月11日 (日)

緑風の宇治散歩

 Takaが長期出張から帰ってきました。本日も、薫風香る五月晴れ。時差ボケ解消とリフレッシュを兼ねて、宇治を歩いてみることにしました。JR宇治駅で下りて、散策開始。老舗の茶屋などが並ぶ商店街を抜け、宇治川を渡ります。

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                                   夢浮橋からの眺め

 澄んだ水面と新緑がきらめいています。さわらびの道から仏徳山の展望台まで緩やかな坂道を登っていきます。

20140511_uji_02                                    頭上を彩る楓の新緑

20140511_uji_03                                       山ツツジの花

           展望台からは、宇治の町が一望できます。

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             平等院も木立の中に鎮座しています。

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          再び山道を下りて、麓の宇治上神社にお参り。

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20140511_uji_07   境内には清水が湧いています。桐原水といい、宇治七名水のうち現存する唯一の湧き水だとか。

   宇治川沿いに出ると、ちょうどお昼時。福寿園の宇治茶工房で、茶蕎麦をいただきます。少しですが待ち時間があり、思ったより時間がかかってしまいました

 茶房を出て、少しだけ上流に行くと、興聖寺があります。ここは、宇治きっての紅葉の名所。山門から琴坂へと続く楓の並木、今はみずみずしい青葉の回廊です。

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 興聖寺を出て、川を上流に向けて散策。清流にかかる楓の若葉に光がしたたっています。

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                 天ヶ瀬吊り橋を渡って・・・

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20140511_uji_13_7 閑静な山と川の眺めを愛でつつ、下流へ戻ります。

 塔の島まで戻ると、何やら舟が浮かんで、太鼓が勇壮に鳴っています。

 龍の形の舟に、思い思いの衣装と幟で時間を競う、宇治川・源平・龍舟祭という催し。笛太鼓の音頭に応援の掛け声も飛び、なかなかの熱戦についつい見入ってしまいます。

 川と緑に心洗われた一日の、思いがけず賑やかな締めくくりとなりました。

2014年5月 6日 (火)

新緑の多武峯談山神社

 Taka引き続き長期出張中につき、Elli一人で過ごすGW最終日。今日も好さげなお天気です しつこい喉と鼻も、さらにマシになったことだし、再び一人歩きに出掛けてみました。行き先は、人込みの苦手なTakaなら避けそうな名所旧跡の中から、談山神社に決定。紅葉で名高い古社。この季節は、新緑と山吹に彩られます。

  談山神社には、JR桜井駅からバスで向かいます・・・が、事前にバスの時間を調べずに駅に着いたら、バスは10分前に出たばかり 次のバスは1時間半も後。途方に暮れてガイドブックと地図を開けると、歩いて行けそうな範囲に阿倍野文殊院と聖林寺が。談山神社に向かうバスは、聖林寺なら通ります。聖林寺まで15分ほどの道のりを歩いて行くことにしました。

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 途中、古墳をかすめ、駅から続く市街地を抜けると、談山神社の鳥居が立っています。この下をくぐって談山神社への古い参詣道が延びています。多武峰街道。往時の面影を残す街並みの中に、造り酒屋が一件。炭山神社の御神酒を納める、西内酒造。蔵のお店で、Takaにお土産の一本・・・と思うところですが、行程が始まったばかりでさすがに買うわけにはいきません

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 街並みが途切れ、田畑の中を山沿いへ数分のぼった小高い山裾に、聖林寺があります。明治以前、談山神社は妙楽寺という名の仏教寺院でした。聖林寺は、その別院の一つ。全てが談山神社へとつながっています。

  山門からは大和盆地への眺めが開け、正面では三輪山が古墳を見守っています。

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 本尊の子安地蔵にお参りした後、本堂から渡り廊下を渡ると、国宝の十一面観音が祀られたお堂があります。 他に何もない空間の中、足元から頭頂まで流れの美しい立ち姿で、凜然とした面持ちを投げかけています。厳かな麗しさに浄化されるような15分間。

 バスの時刻になり、談山神社へのバスに乗車。里から谷沿いに山道を入っていきます。 多武峰のバス停で下りると、せせらぎに屋形橋がかかっています。朱塗りの欄干の間を渡り、杉木立の中をしばし歩くと、楓の木立の下に、石碑と東大門が現れます。

20140506_danzan_04 ここからは、楓の新緑に覆われた登り坂。

 時刻は12時前。参道の土産物屋で、串コンニャクとトチ餅で軽く腹ごしらえし、いざ境内へ。朱塗りの鳥居をくぐり、光したたる青葉の下、石段を登っていきます。・・・と、人がぱらぱらとしかいません。連休とは思えない静けさ。受付の方に尋ねると、昨日までは結構人がいたのに、最終日の今日は、ぐっと参拝客が減ったそうです。2日前の室生寺の人出が嘘のよう おかげで、閑かな境内が楽しめます。

  山肌に2つの段を成して広がる境内。石段を上がり、左右に歩くたびに、明るい緑の中、檜皮葺の屋根に壁の朱塗りも鮮やかな社殿が、次々と現れます。

20140506_danzan_05                     神廟拝所と十三重塔 

 今でこそ神社ですが、明治の廃仏毀釈までは「多武峯妙楽寺」というお寺だった談山神社。神廟拝所の如意輪観音像(特別公開の時以外、写真展示のみ)、多武峰の象徴といえる十三重塔は、お寺であったころの名残り。

20140506_danzan_07                          十三重塔

 端正な構造美を見せる建築群の間には、山吹・・・
20140506_danzan_10                           

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 石楠花といった季節の花が、緑風に揺れています。自然の中に、計算された舞台のような美しさ。




 

楼門をくぐり、畳敷きの拝殿に上がると・・・






20140506_danzan_06a_2                          拝殿

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 御簾と柱の額縁に新緑が広がっています。

 朱塗りの日光東照宮のモデルとなった、本殿(畏れ多さに写真は撮らず)は凝った造りで、精緻な美があります。




20140506_danzan09_3                                       拝殿の吊灯籠

20140506_danzan_13 社殿を一通り巡って、次は境内の西端から延びる山道を登ってみます。10分足らずで、談(かた)らい山に到着。談山神社の名前の由来となった所です。大化の改新の前、中大兄皇子と中臣鎌足が、この地で蘇我氏討伐の密談を行ったと伝えられます。

 鬱蒼とした木立に覆われた広場の中に、会談の場所を現す石碑が置かれています。

 そこからさらに緩やかな坂を登ること10分、御破裂山に出ます。こちらは、中臣氏あらため藤原鎌足の墓所があります。鳥居が建ち、宮内庁管理となっているところ、藤原氏の権勢を偲ばせます。裏手に回ると、春霞の二上山と大和盆地が見えました。

 今一度、山吹と皐月の花々を愛でながら、山内を下り、今度は明日香まで歩いてみることにしました。現地の立て看板で知った、明日香まで4kmの道と、近鉄のてくてくマップに出ている万葉展望台経由の道と、二通りの行き方があり、万葉展望台経由のコースを選んでみました。

20140506_danzan_14 談山神社の西大門跡を過ぎ、民家と田畑のある一画から大和盆地を見晴らした後、人気のない細い車道を杉林の中へと入っいきます。途中、石仏が並ぶ山中への坂道を辿ると、念誦崛(ねずき)と呼ばれる、石塚が祀られています。増賀上人という、平安時代の高僧の墓。他に訪れる者もなく、文字通り山中にひっそり眠っています。

  ほどなく、万葉展望台への道標があり、山道に入ります。辺りは、ひたすら杉林。鬱蒼とこもる木立の陰を和ますかのように、時折、石仏が佇んでいます。1kmほど歩いて、万葉展望台に出ました。明日香から大和三山の向こうに二上山を一望する眺め。曇り空で霞んでいるのが残念。

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  一服して、明日香へ下りていきます。再び暗い杉木立の中、誰も居ません さすがに、不安 明日香に4kmで出る道の方が、よかったかも。早く杉木立から抜けたい、と思うこと20分、山道を抜け、車道に出ました。

20140506_danzan_15 左右に柿畑の広がる中、明日香の里を見下ろしながら下りていきます。柿の若葉が、つやつや輝いています。上居という集落にくると、向かいに稲淵の棚田が広がっています。水が張られ、田植えを待っているよう。早苗が植わると、綺麗でしょう。彼岸花の頃も、訪ねてみたいものです。

 ほどなく眼下に石舞台古墳が見え、明日香への山越えは終わりました。明日香から人が歩いて行き来できる距離ゆえ、多武峰で大化改新の密談ができたのですね

 途中、人寂しい思いもしましたが、歴史の道を辿った充実した一日でした。

2014年5月 4日 (日)

石楠花の室生寺とボタンの長谷寺

 GW返上で長期出張中のTaka。Elli帰省の予定でしたが、春風邪がすっきり治り切らず諦めて、関西残留 とはいえ、鼻水と喉だけで、不思議と全身状態は悪くありません。お天気は好いのに、家で燻っていると、免疫力まで燻ってしまいそうです。ここは一念発起(?)出かけることにしました。行き先は、この時期、石楠花が花盛りとなる室生寺。人混みが嫌いなTakaがいると、 ほぼ100%行けない所です。

  近鉄室生口駅から東海自然歩道を歩きたいところですが、体調が万全でない今日は、バスに乗ります。新緑に彩られた川沿いに出ると、対岸の岩壁いっぱいに刻まれた石仏が目に飛び込んできます。大野寺の弥勒磨崖仏。高さ11.5mの迫力に、思わずカメラを構えます。が、車窓からiPhoneで撮影は難しく、仏様は通り過ぎてしまわれました

20140504_muro_01a バスは、山の若葉がみずみずしい渓流沿いを走り、15分ほどで室生寺の門前へ。川沿いに土産物屋や食事処の並ぶ通りを抜けて、太鼓橋を渡り、山門をくぐると、もう石楠花の花園。この辺りの花は咲いたのが早かったのか、もう終わりかけています。

 立派な佇まいの仁王門から、境内へ。なぜこんなに植わっているのか不思議なほど、至る所にあふれかえる石楠花。

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予想はしてましたが、拝観者もあふれています 石楠花に彩られた鎧坂の石段も、人だらけで写真を撮るのに一苦労。普段のカメラはTakaが出張に持って行ったので、iPhoneのカメラで思うように構図が取れません

20140504_muro_04 こんなに参拝客が居ながら、山懐に抱かれた境内一円を、深山幽谷の閑けさが支配しています。金堂で、艶やかかつ凜と締まったお姿の諸仏を拝み、再び花の中へ。寺に石楠花がある、というより、 石楠花の中にお寺があるようです。花の上を、楓の新緑が覆い、心洗うような光を注いでいます。

 本堂で菩薩様にお参りして、室生寺の象徴ともいえる五重塔へ。1998年、台風で被害を受けましたが見事に修復され、楚楚とした姿を現しています。

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20140504_muro_06 裏手に回ると、紅の花蘇芳もあでやか。

さらに上へと続く石段を登って、奥の院へ。この辺りの石楠花は、満開を迎えたばかり。みずみずしい花姿を見せています。とはいえ、こちらの石段は、かなり急。花に見とれてばかりいられません。お寺の入り口の仁王門から数えると、上まで700段はあるとか。喉風邪が完治してない状態で、楽な所を選んだつもりが、山歩きめいた行程と化しております

 石段を登り切ったところには、深い杉木立の中に舞台造りのお堂と、弘法大師を祀る大師堂が佇んでいました。

 山の空気に包まれながら、10年に一度の花付きと言われる石楠花を愛でつつ石段を下りました。山深く、俗世を離れた清浄さ漂う境内でした。

 寺を出ると、3時。ちょうどこの時期限定で長谷寺まで直通バスが出ています。 長谷寺は、今ボタンが見頃。せっかくだから、乗ってみます。立派な観光バスで、快適。芽吹き立ての緑に山桜が散らばる山間を縫って行きます。時折、現れる棚田では、田植えをしています。田園の眺めに癒やされる内に、長谷寺に到着しました。

  江戸時代から観音霊場として栄えた長谷寺は、門前に土産物屋や食事処が続き、賑やかな雰囲気で俗界に戻ってきたよう。山門をくぐると、長い回廊の両脇を埋めるように、牡丹が花開いています。色鮮やかな牡丹は、四季折々の花に彩られる寺の華やかさを象徴しているよう。

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20140504_muro_08 回廊を上り詰めると、本堂ではちょうどご本尊の十一面 観音の特別拝観中。普段は、礼堂の窓からお顔だけを覗かせていますが、特別拝観では、観音様のいる仏間に足を踏み入れ、高さ10mのみ姿をじかに仰ぎ、足元に触れて御利益を授かります。下から見上げるお顔は、前から見るよりも遙かに高く、ずっしりとそびえる体躯に威厳が重く満ちます。

 改めて礼堂から観音様にお参りし、初瀬山の断崖に張り出した舞台から辺りを見下ろすと、境内は一面の楓の新緑の海。紅葉の頃が偲ばれます。

  本堂を下りて、境内を一巡。花寺らしく、進むごとに違う季節の花が現れます。しゃくなげ、つつじ、花卯木・・・ よく計算された、見目麗しい植え方。

 

20140504_muro_09                        花卯木


20140504_muro_10                        小手毬と牡丹


20140504_muro_11                       本坊から牡丹と本堂
      

 5月の花を満喫し、帰りの客でなお賑わう門前町を帰りました。華やかな大和路の春でした。

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2014年4月12日 (土)

奈良~九重桜と春鹿寄席

 今日は、午後3時過ぎから春鹿寄席。お天気もまずまずで、それまでの時間、奈良公園を散策。ソメイヨシノは散り過ぎましたが、奈良公園では、色んな種類の桜が春を継いでいきます。今は、垂れ桜と、九重桜が満開。この種類の桜が多いところを、訪ね歩きます。

 みどり池園地。九重桜が、咲き誇っています。

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八重の中でも早咲きの品種で、小振りの花弁が可憐。

花手鞠が、枝からこぼれそうです。

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 戒壇院へと続く石段の脇には、清楚な山桜。

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 正倉院横の園地には、大きな枝垂れ桜が2本。可憐で華やかな、八重の紅枝垂れ。

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「おかっぱ桜」と呼ばれる独特の姿は、花が鹿に食べられないように枝を切っているため、また実際に鹿に食べられることもあり、枝の長さが一定に揃っているからだそう。不思議に愛らしいボリューム感。

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 東大寺大仏殿の脇から、東塔跡園地へ。ここは、桜も楓も多い所。すでに新緑をつけた楓に、枝もたわわな九重桜。そして、名残のソメイヨシノ・・・ 少しずつ春が進んでいます。続く春日園地。広々とした芝生を九重桜が彩っています。折しも風が吹き、花吹雪が・・・ 


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華やかな一時です。

シルクロード交流館の脇の、枝垂れ桜の饗宴もあでやかです。

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 この後、もう一度東大寺大仏殿の背後に出、土塀の続く石段を登って、二月堂、三月堂、若草山の麓を通り、浮見堂の浮かぶ鷺池へ。

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 池を見下ろす高台は、ちょっとした九重桜の並木。

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 下に入ると、桜色の回廊。身も心も桜色に染まって、奈良公園の花力を満喫しました。

 散策の後は、奈良町の今西家書院で、お楽しみの春鹿寄席。

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本日の噺家さんと題目は・・・

笑福亭純瓶さん 奈良を舞台にした創作落語・・・なのですが、今回は桃太郎をアレンジした「桃太郎と鶴と正直じいさん」のお話・・・あれ、奈良は もしかして、ネタ切れ しかも、話の途中で、本来ならまくらとおぼしき四方山話が入ってきますよ。どうなることかと思いながらも、意外性にかえって楽しく笑えました。次回、Elliの恩師の先生作の奈良町民話地図など進呈しよう(どの話もご存じかもしれませんが・・・)と、僭越ながら思った次第でした。

 桂華紋さん 「ふぐ鍋」 若手で、今後のさらなる面白みを感じさせる、勢いある話しぶり。

 笑福亭純瓶さん 「平の陰」 安定の古典落語。創作の方と打って変わって、安心して(?)、笑わせていただきました。

 桂坊枝さん 「天王寺詣り」 まくらでは、まったりした、物静かなくらいの話しぶり。それが落語の本筋に入ると、一変。メリハリの効いた、熟練の話芸。極められた語りに大いに笑った、円熟の締めでした。

 

20140412_nara_15 この後は、お楽しみの交流会 

 美味しいお酒と、噺家さんとの語らいの一時。

   桜に魅せられ、

         芸に笑い、

           酒と食に酔った

盛りだくさんな一日でした。



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2014年4月 9日 (水)

又兵衛桜と春の宇陀散策

 最近、お天気が変です。仕事のある平日に晴れ、週末になると雨・・・勤労者はひたすら税を納め、週末、行楽や遊興に散財することなく、将来、手薄になる年金に備えて、ただただ働け、という酷薄な天のお告げなのでしょうか・・・

 恨み節はともかく、ソメイヨシノが満開だった4月5日、6日の土日。曇りやら雨やらで、ぱっとしないお天気・・・出ようと思えば出られるのですが、Elliはまだしも、青空の下の桜にこだわるTaka、家を出ようともしません 仕方なく(?)、現在の天気の周期で、晴れが予想される9日水曜日、休みを取って、花見に繰り出しました。

 行き先は、奈良県南部、宇陀の又兵衛桜。平日とは言え、結構な人出になると聞き、早めに出発。近鉄榛原駅からバスを乗り継ぎ、9時過ぎには、最寄りのバス停、宇陀高校前に着いていました。又兵衛桜までは、歩いて20分。阿騎野・人麻呂万葉公園を過ぎて、山里のあぜ道へと入っていくと、北向き地蔵桜が現れます。郷愁に満ちた、鄙びた趣。

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 ほどなく、ソメイヨシノの並木の奥に、悠々と枝垂れる一本桜が現れます。

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又兵衛桜です。

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 樹齢300年の古木。今年の大河の主役、黒田官兵衛に仕えた武将、後藤又兵衛の屋敷跡に立っていると伝えられます。石垣の上に佇む姿は、風格が有り、古老のよう。近付くと、枝の張り方がとても立派な上、花付きが一重で楚楚としているため、その枝垂れる様は、上品な翁の白い髭のようです。幾星霜の風雪に耐えた「歴史」を感じさせます。

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 後ろには、華やかな紅色の桃。赤いおべべで着飾ったわらべらが、白鬚の翁の周りで遊んでいるようです。

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 桜を見上げる広場には、見事な辛夷。ここに並ぶ出店から、山菜ご飯や柿の葉寿司を買って(Takaは、持ってきたお酒でお酌)、しばしお花見がてらお昼ご飯。

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 又兵衛桜の前には、小さな川が流れています。橋を渡って、対岸から桜を眺めると、また別の風情が。雅な桜色に枝垂れる姿は、たおやかな娘さんのよう。

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 白髭の翁ではありません。近くで見ると、古色蒼然としている樹が、少し離れただけで、華やかな画となります。

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 桜の下には菜の花、対岸には水仙、そして桜の奥には桃の花が植わり、まさに春爛漫。

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 見渡せば、まわりの山里は、そこかしこに桜が。駐車場の少し先まで歩いてみました。一画に、ソメイヨシノ、連翹、花蘇芳の百花繚乱。

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  気が付けば、3時間近くも、又兵衛桜の元で過ごしていました。最初は少なかった人も、10時過ぎから段々増え始め、常時1~数組の団体さん、個人客も多くなってきたよう。12時過ぎ、駐車場渋滞で連なる個人客の車と、団体用駐車場に停まる観光バス6台を横目に見ながら、「かぎろいの丘・万葉公園」へ。

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 丘の上からは、宇陀一帯が見晴らせ、柿本人麻呂の歌



ひむがし

   野にかぎろひの立つみえて 

      かへり見すれば 月かたぶきぬ

 を記した万葉歌碑が建っています。

 少し盛りを過ぎたソメイヨシノが、春を飾っています。明日香の頃、朝廷から冷涼なこの地へ薬草狩りに来た往時を偲びながら、しばしお昼寝。

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 丘を降りてすぐそばに、「阿騎野・人麻呂公園」があります。

 明日香時代の朝廷の遺跡が実際に出土した所に、倉庫や住居が再現され、凜々しい馬上の人麻呂像が立っています。

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 かぎろいの丘の北側に出て、阿紀神社にお参りし、天益寺へ。

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 大きなヨシノ桜と、樹齢300年の枝垂れ桜の競演。大野寺の枝垂れ桜は、この株を分けたものとか。下の畑も、桜で縁取られています。まるで、桜の里山です。

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 天益寺には、室町時代の茅葺き屋根の本堂がありましたが、数年前、放火で焼失。再建され、往時の風情が戻ってくることを願ってやません。

 次は、少し歩いて、徳源寺へ。

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 桜に覆われた石段を登り(でも登っている時は、桜の花はよく分かりません)、杉木立の中を進んでいくと、松山城を支配した織田家の墓所があります。

 再び石段を降り、宇陀川を渡って、松山西口関門から、宇陀松山の古い街並みへ。




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 夕暮れ時で人影もまばら。最近、甘酒造りに凝るTaka、麹屋さんで生麹を購入。

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 以前、「酒蔵みて歩き」で訪れた久保本家も、桜に彩られています。ここで、本日の行程、終了。日帰り温泉あきのの湯で、歩き疲れた身体を癒やし、バスで榛原駅へと戻りました。帰宅途中の西大寺へで、夕食。

 「神韻」蔵元直営の居酒屋「樽八」で、本日の打ち上げとし、桜づくしの一日は、暮れたのでありました。

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2014年3月21日 (金)

伏見日本酒まつりと城南宮散歩

 毎年の恒例行事、伏見日本酒まつり (近頃なんだか酒関連の恒例行事が、やたらと多い気がするのですが)。今年も、お昼前から繰り出しました。

20140321_jonangu_01 まずは、山本本家。昨年、こちらの蔵元直営「鳥せい」の粕汁が絶品だったのですが・・・

 あれ、出汁が薄い

 前後のおばさん方にも不評で、皆さんブツブツ・・・。察するに、昨年は、遅い時間に来場したので、鶏肉の出汁が濃く、鶏肉もごろごろ入って(残って)たのですが、今回は開店直後に来たので、出汁がまだ出来っておらず、具の量も加減されてたのかも。

 狙うべきは、品切れのリスク承知で、「残り物には福がある」時間なのかもしれません。

 次は、川を渡って、斉藤酒造。新酒鑑評会13年連続金賞受賞を誇るこの蔵、Takaの心をそそる純米酒もさることながら、Elliも楽しめる果実酒、何より美味しい食べ物屋さんが多く、いつも楽しませてもらっているのですが・・・

 今年は、例年になく凄い人。席を取るのも一苦労。有料試飲コーナーも、恐ろしい行列で、10分以上待たないといけません。蔵の人も、「今までこんなことはなかった」と、苦心のご様子。いつもなら、有料試飲コーナーを何度も行き来するTaka、今回は一度で断念。とにかく食べる物だけは食べて、早々に切り上げました。

 3つめ目は、招徳酒造。女性の杜氏さんが醸す、優しい味のお酒。おつまみの鶏モモ肉の炭焼きも絶品で、良い締めくくりとなりました。

 普段は、この後、酒蔵の並ぶ堀沿いなどを散策するのですが、今日は趣向を変えて、北上。枝垂れ梅が美しいという城南宮に行ってみました。

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 鳥居から、本宮に至る参道の両脇は、様々な椿が植えられ、とりどりの色と姿を見せています。

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 端正で清々しい佇まいの本殿にお参りし、 庭園へ。

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 枝垂れ梅は、もう盛りを過ぎていましたが、一面に散り敷く花びらが、地面を華やかに染めています。

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 枝垂れ梅の丘を抜けると、椿の小径。塀越しに、本殿が見えます。

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 大抵の神社では、本殿は拝殿の後ろに奥まり、参拝者は拝殿ごしに本殿を伺うしかないのですが、ここでは、庭園を通ることで本殿の後ろに回ることができ、全容を見ることができます。これは大変、貴重

  次は、曲水の宴を行う、平安風の庭。北野天神と梅の植え込みの借景も、心憎いばかり。通路を渡って、室町、桃山風の庭へ。広々とした枯山水に、池のほとりの茶室。よく整えられ、進む度に変化していく景観の見え方も、計算し尽くされています。

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 奥では、馬酔木が白い花を、鈴なりに付けています。

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 この花が咲くと、もう桜の季節はすぐそこ。春に向けて、着実に時が進んでいくのを感じた一時でした。

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