生駒山-摂河泉コースから宝山寺-
5年前の大台ヶ原探勝に始まって、日帰りで、いわば初級レベルの山歩きを繰り返してきた我々。いつしか、日本アルプスに登りたい、そして中級の証(?)、山小屋に泊まってみたい、という気持ちがむくむくもたげてきました。ピアノに例えると、いつまでもバイエルやブルグミュラーでなく、ショパンのワルツやベートーベンのソナタを弾きたいもの。
行き先はどこがよいかと、候補を絞り込んでいた時のこと。
Elli:「ねえねえ、燕岳は? 北アルプス入門の山の定番だし。アルプス三大急登で、坂はきついけど、所要時間比較的短いし、山小屋がすごくいいみたい。燕山荘、食事もよくて、夜はアルプホルンの演奏とかあるって。」
Taka:「きついって、どんななの?」
Elli:「う~ん、木の階段が延々と続いて、所々膝より高い段差があるんだって。」
Taka:「わし嫌!膝、壊れる。絶対、行かん 行くなら、お一人で。」
実は、Elli、燕岳にどうしても行きたい理由がありました。2月に亡くなった、山好きのElli父。生前、北アルプスで登りに行ったのが、燕岳と白馬岳の2座。出来れば、両方に散骨したいけど、この2つだと、燕岳のほうが登りやすい。特に燕岳は、父親、登る途中で足を挫き、頂上間近の燕山荘までたどり着いたものの、山頂は諦めたそう。なんとしても連れて行きたい。
しかし、Takaの様子から、今回、燕岳はあえなく却下。機会を見て、Elliが1人、ツアーにでも参加して行くという話になりました。
結局、歩行時間と道の歩き易さ、眺望などから、日程に応じて、北アルプスの鏡平か蝶ヶ岳、八ヶ岳の硫黄岳や天狗岳を行き先に選ぶことにし、時期は8月最終週から9月始めに、ということになりました。が、しかし・・・目前になって、Taka「あかん。忙しくて、この秋から年内いっぱいまとまった休みは無理
」
悪夢です 雨が多かった8月。秋の入り口、お天道様の機嫌も少しは変わるかも、という期待も虚しく、自らの都合で希望は潰えました・・・
しかし、ん・・・? Takaが行けないなら、いっそElli、燕岳に行ってしまおう しかし、めぼしいツアーを調べると、日程の合うものがありません。諦めきれずにネットで情報を見ていると、燕岳は人気が高いため登山者が多く、道は一本道でよく整備されているので、一人で登山している人が男女問わず普通にいるそう。 その昔、一人で立山や大雪山黒岳に登っていたElli。思い切って、一人で行ってみることにしました。
それならそれで相応の訓練をして、脚力を作っておかねばなりません。チャンスは9月いっぱいから、10月初旬、冠雪するまで。これからの週末、お天気の許す限り、近郊の山に行くことにしました。
まずは、近場の生駒山。傾斜は急だけど、上り下りの時間はそれぞれ1時間半程度と短く、久々の山歩き兼練習には好適です。
まだ行ったことのない道から、額田駅から摂河泉コースを取ってみることにしました。駅から住宅街の坂道を上がっていくと、山裾の森に広がる公園に行き当たり、遊歩道が巡っています。道標の「額田山展望台」の方向に沿って、山道へ。広い土の道。見上げると、大きく育った樹木の緑の枝が空を覆っています。天候不順だった8月の最後の日。暑さも大分落ち着いていますが、緑陰はさらに心地よいです。
額田展望台に出ると、立派な木造の東屋があり、不安定な天気との予報もなんのその、青空の下、大阪の町が広がっていました。
そこから、細い山道に入っていきます。木々がすぐ際まで迫り、葉や草が腕に触れそうなほど。眺めがない上、あまりに木が近すぎて森林浴の楽しみもなし。おまけに、羽虫が顔の前に寄ってきます。景色も、虫も、うっとおしい・・・養蜂家御用達の虫除けベールが欲しい・・・ こうなると、暑さもうっとおしい・・・ さっきすれちがったおばさん、団扇を持ってたっけ。私も持ってくれば良かった・・・そもそも、こんななら違う道にすれば良かった・・・
不満たらたらで歩いている内に、狭苦しい道は尽き、緑の向こうに大阪平野の展望が開けました。ここから急坂を一登り。左手に電波塔群を見ながら平坦な道を進み、生駒山上遊園に出ました。
ここで昼ご飯。食堂の並ぶ一画で、「手打ち蕎麦」の看板に惹かれて、その店に入りました。ざる蕎麦を頼んで、びっくり。蕎麦の風味と食感が生きた、本格的なお蕎麦。京都の専門店から、九割蕎麦を仕入れているのだそう。思いがけない口福でした。
さて、下山。気分としては暗峠に出て、棚田と大和盆地の眺めで和みたいところですが、お天気の心配もあり、最短の宝山寺へ下りるコースを取ります。いつもは登りに使うこのコース。いざ下ってみると、結構、足に響きます。なぜ~?よくよく地面を見ると、全て石が敷き詰められ、いわば舗装されています・・・同じ舗装路でも暗峠だと車道でだらだら坂のためここまでこたえないのですが、こちらは石段だし・・・
それでも、登りよりはずっと短時間で、あっけなく宝山寺へ着きました。折角なので、宝山寺境内を探索。二重屋根が軽快な聖天堂の裏に迫るゴツゴツした岩山が気になり、近くまで行ってみました。そこには、役行者が修行したと言われる洞窟がありました。遥拝所から拝んで、数年前に訪れた飛雲閣の屋根越しに大和盆地の眺めも目に収め、帰途につきました。
ここから生駒駅まで宝山寺の参道にあたる石段をひたすら下ります。思えば、7月始めに生駒で紫陽花探勝をして以来の山歩き。1時間強ですが、山頂からずっと舗装路の下りは、ちょっとこたえます・・・ こんなことで、大目標の北アルプス燕岳、合戦尾根の急な3~4時間の下りを耐えられるのか? 不安がよぎる、初回訓練となりました
« 生駒山の紫陽花の森 | トップページ | 比叡山-坂本本坂から雲母坂- »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント