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2013年4月29日 (月)

京の文化財に酔う

 春の連休前半の最終日。Takaは法事に、Elliは東寺にお出かけ。学生時代の友人が、遠方から京都に来るのです。

20130429_toji_01 待ち合わせは、京都駅。

 混雑が予想されるので、11時に京漬物の「西利」で早めのランチ 店員さんのオススメ、京漬物寿司点心。

 お寿司に漬け物?と思いますが、西利の漬け物はあっさり上品目で、寿司飯とよく合います。

 

 12時には店を出て、東寺へ。

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折しも春季特別公開の真っ最中。チケット売り場は少し並びますが、中は広々 境内は新緑も目映く、五重塔が佇む池の畔には、ツツジやアヤメの花が彩りを添えています。

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 講堂、金堂の諸仏にお参りして、特別公開中の国宝・五重塔の初層へ。1644年の再建のため、壁画や仏像の彩色が比較的綺麗に残っています。仄暗い空間の中、壁一面に描かれた精緻な曼荼羅のとりどりの色彩の中、金剛界四仏像が金銅の光を放っています。奈良時代や平安時代の、彩色がほとんど落ちた仏様を見ることが多いElliには、当初から伝わる色彩が見えたのは、貴重です。

 同じく特別公開中の国宝の観智院へ。

宮本武蔵筆の襖絵、枯山水の「五大の庭」は空海が唐から日本へ帰る時の航海の様子を現しており、見応えがあります。

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 ご本尊の五大虚空蔵菩薩は、智恵を司り、一体一体が象、獅子、孔雀など動物に乗った珍しいお姿。

 もっとじっくりしたかったのですが、次の予約時間があるため、宝物館の展示は見ないまま東寺を出ました

 

 次は、2時半から西本願寺で、書院と飛雲閣の特別拝観。一般公開はしていませんが、一日一回、案内付きの見学があり、電話とFAXで申し込むことができます。撮影禁止なので写真はありませんが、簡単に書き留めておくと・・・

 書院のうち見学できた「対面所」は、365畳の大広間。広さだけでも圧倒的ですが、渡辺了慶筆の襖絵が見事で、何枚あるのか分かりませんが、一枚一枚ゆっくり見たくなります。枯山水の「虎渓の庭」は、御影堂の屋根を中国の香炉峰に見立て、そこから一気に下るように巨石で山を築き、深山の峡谷を表した、戦国の気風を彷彿とさせるダイナミックな造り。飛雲閣は、憎いほどの趣向を凝らした造りで、安土桃山の「数寄」の美意識を体現したかのよう。これまで京都で色んな寺社仏閣を見ましたが、その中でも別次元の豪奢で、圧巻の一時でした。

 特別拝観を終え、御影堂から飛雲閣の方を見ると、木立の奥に、ごく一部だけ姿を覗かせていませいた。36歌仙の壁画。

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 また見る機会があれば、来てみたいと思わせてくれました。

 この後は、友人を東山の宿まで送っていき、京の都に眠るめくるめく文化財の余韻に酔いながら、帰路についたのでした。

2013年4月28日 (日)

新茶耀く和束の里

 GW2日目。今日は、朝から晴れの予報。久々に里山歩きに出掛けることにしました。
去年、赤目四十八滝に行き、爽やかな新緑と清流の畔でリフレッシュどころか、人混みに酔ってヘトヘトになった苦い経験から、今年は近場で人が少なそうな所を選択。

 折しも新茶の季節。京山城で有数の茶畑の広がる和束を歩くことにしました。

 JR加茂駅からバスで原山へ。山里の中、鷲峰山金胎寺への参詣道を登っていきます。

 家が途切れた辺りから、一面に茶畑が広がります。原山は、和束で初めて茶の栽培が始まった所。鎌倉時代、海住山寺の高僧、慈心上人が、栂尾の明恵上人(茶業興隆の祖だそうです)より授かった種を、鷲峰山麓に植えたと伝えられます。登山道から少し逸れた所の、ひっそりとした一角に、まるでコロッセオのような端正な茶畑

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 鷲峰山への道を、茶畑の外れまで登ってみます。緑の規則的な波模様が、光り輝く新芽をまとい、辺りの山肌いっぱいに広がっています。

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 自然と人工の調和の極みのような造形美。整った蒲鉾型の刈り込みは、日本庭園の皐月や躑躅でよく見る形。日本庭園の造形は、案外、茶畑がルーツ?

 元来た道を下り、原山から東海自然歩道を進みます。そのままだと南山城村の童仙坊に行ってしまうので、和束町役場の方に出るには、どこで曲がればいいか地図を見ていると、犬を連れたおじさんが話しかけてきて、道を教えてくれます。曰く、ここの茶畑の美しさは、長年住んでいても感動するほどで、とりわけ6月の梅雨の晴間が新茶も生え揃い、最も美しいとのこと。近場の我々、ぜひチャレンジしてみたいものです。

 天満宮の森を越え、杉の大木を見て、町役場に出るつもりが、結局、曲がる所を間違え(折角、教えてもらったのに)、車道に出てしまいました。どちらにせよ、車通りもそんなに激しくなく、歩道もしっかり備わり、そう距離もなさそうなので、そのまま進みます。左手に、釜塚の茶畑が見えてきました。「耕して天に到る」ならぬ、「茶を植えて天に到る」光景。

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 実は先週末、携帯をスマホに替えたばかり。手持ちの地図で道が分かりにくい時、GPSが威力を発揮します。おかげで想定外の道も無事に通り抜け、手前にお椀を伏せたような、茶色い地面が剥き出しの小山が見えてきました。頂に、こんもりした森を、冠の如く頂いています。安積親王陵墓。

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 でも、何か違います。散策地図の写真では、小山は禿ちょろけではなく、緑麗しい茶畑。土色の斜面をよくよく見ると、全体に小さな苗が植わっています。どうやら、老いたお茶の株を抜き、苗を植え替えたよう。実際、陵墓のすぐ下に辿り着き、南側に出ると茶畑が広がり、その中を陵墓に御参りする小径が通っています。

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 安積親王は、聖武天皇の第二王子。17才で恭仁京で没し、この地に葬られました。3年前のNHKドラマ「大仏開眼」で、玄昉に怯える表情が、生々しく想い出されます ほどなく、和束茶カフェに到着しました。

20130428_wazuka_11 こちらは、和束町が運営している、お茶や茶菓子の即売所。中でも飲食出来ますが、「天空カフェ」なる展望所が気になり、そこでお弁当が食べられるか尋ねてみました。

 「食べて頂けますよ。1組500円で鍵をお貸しします。それと、お好みの緑茶を選んで頂いて、お餅頂きます。今日は他にお客様はいないので、好きなだけ居てください。」

 なんと、本日、貸切りのよう。緑茶は500円で、たっぷりの茶葉に、急須や湯呑も一式、貸してくれます。何だか、お得。カフェで買った茶団子と、昨日、奈良で仕入れた柿の葉鮨を携えて、運動公園から急な坂を登ると、可愛らしい木造の東屋が、里を見下ろすように立っています。

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20130428_wazuka_13 中に入ると、木の香り漂う壁に、和束の里を一望できる広々としたガラス窓。真ん中に、畳の座敷が有り、囲炉裏も。居るだけで、癒される空間。


20130428_wazuka_14  柿の葉鮨の後、茶団子と、それに合わせて選んでくれたお茶を味わいます。

 茶葉が違う?茶器が違う?水が違う?空気が違う?その全て? これまでに味わったことのない、甘みと香りが立ち上ってきます。恐るべし、和束茶。

 このままここで夕方までお昼寝しそうな心地よさでしたが、茶畑歩きの行程は、まだまだこれから。自らを叱咤激励して、天空カフェを降り、散策ルートに戻ります。

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 ここからは、目の覚めるような、緑鮮やかな光景の連続。丹念に手入れされた大小の茶畑が、青空の下、手の届きそうな間近な丘を覆い尽くして、はたまた狭い谷間を埋めるように、次から次へと現れます。時には、山のこんな高みに、と思うような所にも茶畑が。

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 石寺の茶畑。和束の茶畑というと、必ずと言っていいほど、ここが写真やポスターになっています。写真では、青空に向かって、三角形の山の頂まで一面の緑の茶畑。・・・が、

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今日は茶葉さん陽射しがキツイのか、半分ほど黒い寒冷紗でお隠れになっています。それでも、全面覆いが取れた時の美しさは、十二分に想像できます。

 道なりに降りて行くと、ちょうど茶摘みをしています。大きな袋の付いた機械を茶の株に被せ、二人掛かりで動かして行きます。力仕事で大変そう。小学唱歌のように「茜襷に菅の傘」とは、いきません。

 ここから、しばし森林の中を通り、和束町から加茂町へ。ここも、山と家の間に土地があれば、茶畑で埋まっています。海住山寺への参道と交わるあたりで、澄んだ水が滔々と流れる大井手水路に行き当たりました。こちらも、原山に茶を伝えたのと同一人物、海住山寺の慈心上人が開いたもの。この地域の恩人です。

 豊かな流れに沿ってしばらく歩き、南に逸れると、恭仁京跡。

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 740年から744年にかけて、聖武天皇が都を於いた所です。平城京に都が戻ってからは、大極殿は山城国分寺となりました。跡地では、一つの碑に、その双方が記されています。

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 併設の資料館に入ると、地元ガイドの方が、懇切丁寧に詳細に説明してくれます。木津川市合併後の、加茂地域の事情などもよく分かり、有意義な時間でした。

 恭仁京の後は、木津川を渡り、古い町屋の趣が残る船屋商店街を通って、加茂駅に戻りました。
 光り輝く茶畑に、心洗われた一日でした。

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2013年4月27日 (土)

春鹿寄席 第三十盃

 今日は、お楽しみの春鹿寄席。

 前回、急遽、実家に帰らなければならなかった Elli も復帰。

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 我々が、春鹿寄席に初めて参加させていただいたのが第二十五回目で、今日が第三十回目。 蔵の方にも覚えていただけるようになり、また、少しずつ、馴染みの方も増えてきました。

 まずは、主催の純瓶さんの創作奈良落語。 今日のお題は「風袋」。

 冬の冷気を柿渋を塗った袋に溜めて、夏の暑い日に解き放つことで涼を味わおうと画策した和尚さんと、ちょっと面倒くさがりの小姓のお話です。 冬の寒い日に和尚さんに言われて、半信半疑でしぶしぶ冷気を袋に溜めた小姓。初夏の暑い日に、まさかと思いながら、袋を開けてしまいます。 すると、信じられない涼しい冷気が・・・。 まぁ、和尚さんも忘れているだろうと思い、なんと、その袋に少しずつ、オナラをため込んでいきます。 ワルですな。 しかし、和尚さん。 忘れては居なかったのです。夏の一番、暑い日を待っていたのです。 さて、どうなることやら。

 次に、生寿さんの「悋気の独楽」。 “悋気”は り・ん・き と読みます。 意味は、やきもち、嫉妬です。 ボキャ貧のTaka ・・・お 恥ずかしながら知りませんでした。

 大店のごりょんさんが旦那が妾さんのところに行っていると知りながら、店の者にその所在を尋ねていくお話です。 最後には、妾さんのところから帰ってきた丁稚と、その丁稚が妾さんからもらった独楽を用いたやりとりが見せ場です。 もともと声質の高い生寿さん。見事に、いろいろな登場人物の声色を変化させながら、この話しを楽しませてくれます。

 次は、再び、純瓶さんの古典落語で「代書屋」 昔、まだ字を書けなかった人がいた時代の履歴書作りのお話。ちょっと風来坊の男が、職を得るために履歴書を代書屋さんに作ってもらうのですが、元来、履歴書の意味そのものが分からない男。 代書屋さんの質問に答えながら、それを履歴書に仕立てていくのですが・・・  純瓶さんの代書屋さんの口ぶりが、それを聞いているだけで笑えてくる演目でした。

 トリは、笑福亭松鶴師匠の直系である伯枝さん。お題は「天神山」。変ちきの源助という、本能的に人が言うことと真逆の方向に突っ走ってしまう変わり者が花見に行こうとしていた、人から「花見に行くのか?」と問いかけられて、すでに真逆エンジンが全開で、「墓見に行く」と行って、お墓に行くところから繰り広げられるお話です。 でも、最後は、少しほろっとさせる人情話。 伯枝さんのクリクリとした大きな目で語りかけてこられる大作でした。

 さて、落語で大笑いした後は、出演された噺家さんと楽しむ春鹿のお酒。

 実は、生寿さんのご実家は、Taka家 とそう離れていない場所。 ローカルな話題で盛り上がってしましました。 あまりにもローカルでドン引きされていた他の方、ごめんなさい。

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 帰りしな・・・ こんなお酒が売られていたので、ラベルにつられて買ってしまいました。

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2013年4月23日 (火)

「当麻寺」展と春の奈良散歩

20130423_nara_01 Elliが御奉公を解かれ、3週間。

 はじめの2週間は健康状態が優れない両親を見舞いに徳島に行っていましたが、先週から色々と用があるため、しばらくはこちらに落ち着いていることに。御奉公中はなかなか出来なかった、「平日のお出かけ」。

 本日、学生時代からの友達と、奈良国立博物館で開催中の特別展「當麻寺 -極楽浄土へのあこがれ-」に出かけることになりました。

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 6月2日まで開催されていますが、中将姫伝説ゆかりの「国宝 當麻曼荼羅」が展示されるのは、今日から五月の連休明けのみ。二上山の麓の當麻寺、一昨年の「酒蔵見てある記」のあと立ち寄ったり、この冬には石光寺で中将姫が當麻曼荼羅を染めたという井戸を見たり、また、中将姫伝説を下敷きにした折口信夫『死者の書』と読んだりしたので、ぜひとも當麻曼荼羅の実物を見てみたくなったのです。

 渋い題材なので、きっと空いてるだろうと思いきや、大和路有数の名刹である當麻寺、わりと人が来ております。仏教美術の学識豊な同行の友達アドバイスで、混雑を避けるために、展覧会随一の名品「 国宝 綴織當麻曼荼羅」に直行。幸い人は殆どおらず、當麻曼荼羅の図柄構成を子細に紹介しているDVDを事前に観てから、ゆったりと観ることができました。

  「當麻曼荼羅」は、「観無量寿経」の教えを説いた物で、マガタ国王妃が、夫と自分を幽閉する王子の所行を嘆き、釈迦に教えを請うたところ、阿弥陀如来の座す浄土を説く、という筋立てになっています。伝説では、中将姫が蓮糸から織り上げたことになっていますが、実際は絹糸で、唐から伝来と推定。763年の記録があるように1250年近くを経ているため、傷みが激しく、実際、近づいても殆どの図柄が判別できません。同行の友達が教えてくれたところによると、辛うじて線が分かる部分は、後世の補修が入っている箇所とか。 

 図柄を鑑賞するなら、1502年完成の「文亀本」の展示期間の方がよいかもしれませんが、 原本に触れられるのは大変、貴重 国宝の當麻曼荼羅厨子も、漆に蒔絵で蓮の花が一面に扉が描かれ、見事。

 當麻曼荼羅といえば、中将姫伝説。中将姫の像や、當麻寺の起こりと中将姫伝説を描いた「當麻寺縁起」で、概ねを理解できます。當麻寺をはじめ、石光寺と中将姫の関わりも、よく分かります。また、「當麻曼荼羅」を始めとする浄土信仰の展開を紹介した展示では、浄土宗の開祖「一遍上人絵巻」もあり、とても充実していました。

 博物館を出ると、お昼前。友達の案内で、高畑にある「ギャラリー喫茶高畑」に行ってみました。途中、飛火野を抜けます。もう藤が咲いています。

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 「ギャラリー喫茶高畑」は、志賀直哉旧居近くの閑静な一画にあります。ランチの自家製カレーは、スパイスを良く効かせた中に甘みもあり、何というか、お洒落な辛さ。木彫の店内が心地よく、ついついお喋りでくつろいでしまいます。

 喫茶店のある建物は、奈良には珍しいコンドミニアム形式の宿になっていて、中を見せて頂きました。寝室と別にリビング空間やキッチンもあり、家族連れに良さそうな、ゆったりした造り。窓からは志賀直哉旧居や、春日山も見渡せます。奈良は近場のため、泊まる機会のないElli。遠方から来る人が、ちょっと羨ましくなる一瞬でした。

 時刻は、2時半。春日大社に通じる、ささやきの小径を通ってみました。馬酔木が、白い花を鈴なりに付けています。

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 馬酔木、家の周りでは桜よりも早く咲くので、この時期に満開とは、驚きました。

  飛火野、浅茅野から浮見堂と歩くと、藤棚に紫や白の藤が揺れています。

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 まだ5分咲きくらい。これから少しずつ花が開き、房も伸びていくのでしょう。荒池園地に出ると、奈良の八重桜が咲き誇っています。

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 この春、最後に見る桜。春から初夏へと移り変わる花模様。午前の「當麻寺展」から午後の奈良公園花散歩まで、奈良の時の移ろいに浸った1日でした。


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