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2011年12月18日 (日)

Anuna ~アイルランドの聖なる声~

 クリスマスまで、1週間。身を切るような寒さの中、滋賀のびわ湖ホールへ出かけました。アイルランドの混声合唱団、アヌーナを聴くためです。

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 作曲家のマイケル・マクグリンが「古代~中世アイルランドの音楽を蘇らせる」意図で結成し、自ら掘り起こした中世アイルランドの聖歌や俗謡を、現代的に編曲して歌い続ける、少人数の合唱団。家に一枚だけあるCD。かけると、ノンビブラートの澄み切った、秘めやかな和声が広がります。

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 初めて生で聴く、純正調の古楽。楽しみに、JR膳所駅から琵琶湖の畔にあるホールに向かいました。

 少し時間があるので、琵琶湖沿いを散策。湖の奥に、比良の山々が雪を被っています

 12月というのに、もう真冬。

 ホールのカフェで軽くビーフ・サンドをつまみ、場内へ。

 ホワイエに出ると、壁一面のガラス張りから、琵琶湖と比叡比良山系の広々した眺めが目に飛び込んできました。前に来たときは夜で分かりませんでしたが、立地を生かした美しい空間だったんですね

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 席に着き、いよいよ開演。仄暗い舞台には、蝋燭が置かれています。照明が落ち、舞台の真下に、蝋燭を手に黒いマントをまとい女性が現れ、ソプラノの独唱が響き始めました。他の人は?と思っていると、後ろから歌声が響き始め(Taka & Elliは前方左寄りの席)、女性はマント、男性はベストを付け、蝋燭を手にした歌い手が客席の奥や左右から4手に分かれて現れ、清らな歌声と仄かな明かりと共に客席の中を進んでいきます。高い天井の下、客席は四方から湧く厳かな声に包まれ、中世ヨーロッパの空気に満たされます。

 
 総勢12人の歌い手が舞台に揃い、第1部が始まりました。中世の欧州各地の聖歌や俗謡が、美しいハーモニーで歌われます。元々は男声の斉唱だった歌が何声にも別れ、掛け合いや対旋律、様々な歌い方を繰り広げ、聖なる世界を創ってゆきます。男声は、一部ボイスパーカッションやホーミーのような唱法も入れてました。幅広い技巧です

 第2部は、ダニー・ボーイやジングルベルなど、親しみのある曲も取り入れた構成。ジングルベルが、こんなに芸術的になるとは。圧巻はエルサレムという、女声だけで歌われた曲。ヘテロフォニーという唱法で、一つの旋律を一人ずつずらしながら、それも輪唱のように小節単位の区切りのいいところではなく、1~数拍といった僅かなところでずらしながら、重ねていきます。他の人に少し引きずられただけでも狂いをきたしそうな、完璧な音程とリズム感が備わってないと不可能な領域。そこから生まれる、冬の夜の冴え冴えした星々ように透明な、声と声との重なり。清浄な、天国から降り立ったような響き。

 歌の合間には、主催者のマイケル・マクグリンさん自ら通訳付きで解説をしてくれるのも分かりやすく親切。驚いたのは、歌い手12人のうち、男性はバリトン、テノール各3人で半々なのですが、女声はソプラノ5人、メゾは1人だけ。この構成が、安定した低音に支えられた、透明度の高い、かつ深みのある唱和を生み出すのですね。人の声が到る、境地の高み。人という体温と苦悩を持つ存在が、どんな楽器よりも清透な音色を奏でるという不思議。

 琵琶湖ホールの音響は本当に素晴らしく、マイケル・マクグリンさんも讃辞を送っていました。残響1.9秒(大阪のシンフォニー・ホールは残響2秒)で、オペラや合唱など歌向きの設計のようです。オケだけだと、どんな響きになるのでしょう?機会があれば、聴いてみたいです

 至福の歌声の余韻も覚めやらず、コンサートの印象そのままに、京都三条にあるアイリッシュ・パブ「ダブリン」へ。2階テーブル席で落ち着いて、素朴なアイルランド料理とギネスビールを味わいました。家庭的で美味しい料理と、アイルランドから取り寄せた調度品に囲まれて、すっかり異国気分で心地よい一日は過ぎたのでした

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