« コスモス再び~般若寺と興福寺 | トップページ | 平城宮跡へ歩く »

2011年11月 2日 (水)

明日香めぐり

 奈良散策の2日目。今朝も晴れやかな秋空。今日の目的地は、明日香。足の調子が今ひとつの友人のためバスをフル活用の予定で、橿原神宮駅にて1日フリー乗車券を購入。おおよそ1時間に1本のため、不便でないか心配でしたが、これが案外よく出来ていて、しっかり廻ることが出来ました。

20111102_asuka_01 橿原神宮駅を9時37分に出発。のどかな田園にぽこぽこと現れる丘陵は甘樫丘や雷丘など万葉の故地。その中を、いにしえの宮や寺の跡が点在しています。そして、風致地区として守られた、昔ながらの立派な民家。時が置き去りにしたような濃密な空間を、バスは抜けていきます。

 最初の降車地は、飛鳥資料館。飛鳥の歴史の概略を、頭に入れることができます。前庭には、明日香中に散らばる石造物の複製が置かれ、その中でも酒船石や石人像のように水を使った仕掛けのある物は、実際に水を流して往事の姿を再現しています。興味は尽きませんが、バスの時間が来たので、次の場所へ向かいました。

20111102_asuka_03  次は、飛鳥寺。蘇我馬子が建立した、日本最古のお寺です。創建当時は塔と3つの金堂を有する大伽藍でしたが、火事で焼失。

 現在は、小さな本堂に、飛鳥大仏が安置されています。年若い住職さんが丁寧に解説をしてくれ、よく分かります。鞍作止利作の釈迦如来は、法隆寺の釈迦三尊像とよく似たお顔立ち。二度の大火にみまわれ、補修の跡が痛々しいですが、飛鳥時代のままと言われるお顔の上半分はなお端正で、抽象的で古代的な目鼻立ちは、仏の理念を説き続けているようでした。

20111102_asuka_02
 お寺の裏に回ると、入鹿の首塚があります。石造りの五輪塔が、甘樫丘を背に佇んでいます。大化の改新で刎ねられた蘇我入鹿の首が、この地まで飛んできたのだとか。

20111102_asuka_04

 由来はおどろおどろしいながら、味わいある風景。なのに、ここへ来て空には一面の曇。入鹿の怨念 入鹿の首塚は、冬に樹氷を見に登った高見山にもありました。奈良の南部に散らばる入鹿の首塚伝説。死してなお畏れられる蘇我氏の威光が偲ばれます。

20111102_asuka_05  再びバスに乗り込み、石舞台古墳へ。時間は1時過ぎ。農村レストラン「夢市茶屋」で、少し遅めのランチ。

 古代米のご飯に、地元の野菜や豆腐を使った、やさしい味の素朴なお惣菜が並んでいます。薄味ながらひと味加えてあり、こんな味付けができたらなあ~と思う美味しさでした。

 昼ご飯をすませ、いよいよ石舞台古墳へ。

20111102_asuka_06 蘇我馬子の墓と言われるこの古墳、封土がないため、横穴式石室に入れるます。蘇我氏の怨念のためか(?)、やはりここも曇り空

 昨日の天気予報ではずっと晴れだったのに、いつからこうなったのか?今日はもうずっと曇りのままのよう。

 それでも石室の中には、薄い光が漏れていました。

20111102_asuka_07
 ここから橘寺まで15分間のプチウォーキング。明日香川に沿って、木の香りが漂う森の外れを歩きます。左手には、田園越しに村落が続きます。道が田んぼの中に出たところで、白壁と瓦屋根の美しい集落が現れ、一段高い所に橘寺の山門と塀が巡っています。

20111102_asuka_08

20111102_asuka_10

 橘寺は聖徳太子の創建で、その父、用明天皇の別宮を寺に改めたのが始まりとか。聖徳太子誕生の地とも伝わっていますが、書誌の記録では太子生誕の地は池辺双槻宮(現桜井市)となっています。当時は尼寺だったと推定される境内の諸堂は、楚々として清らかな佇まい。庭には飛鳥時代の二面石、収蔵庫では重文の諸仏、平成になって再建された往生院では色とりどりの花々の天井画も見られ、見応えがありました

 橘寺から、稲刈りの終わった田んぼの中を下るとすぐの所に、川原寺跡があります。今は中金堂跡に弘福寺がささやかに建つのみですが、廻りの広々とした空間には礎石が復元され、ありし日の大伽藍が偲ばれます。

20111102_asuka_09
 大寺院が競うように並び立っていた飛鳥の都。大きな寺社仏閣が華やかに並ぶ奈良や京都の、まさに原型だったのでしょう。縮小しながらも、その法灯を今なお守り続ける明日香の諸寺。小さな存在の、偉大な努力です。

 バスに乗ると、4時過ぎ。高松塚古墳に何とか寄れそう。気持ちよく整備された公園を歩抜け資料館に入ると、壁画が再現されていました。星宿図のもと、四神に囲まれて並ぶ、いにしえの貴人達。制約のある復元でも印象的な色彩、描かれた当初はどれだけ鮮やかだったのでしょう。

 高松塚古墳そのものは、資料館を出てすぐの所に、丸く整った形を見せています。来生の図としては完璧ともいえる壁画に囲まれて眠る被葬者、どれほどの貴人なのでしょう?何より、この壁画のような衣装をまとった人たちが闊歩し、宮や大寺院が並ぶ全盛期の飛鳥の姿に思いを馳ながら、秋の大和路の2日間は暮れていったのでした。

20111102_asuka_11  

« コスモス再び~般若寺と興福寺 | トップページ | 平城宮跡へ歩く »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 明日香めぐり:

« コスモス再び~般若寺と興福寺 | トップページ | 平城宮跡へ歩く »