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2011年8月27日 (土)

高丸山~霧雨のブナの森

 8月も終盤、Takaの長期出張に合わせて、四国は徳島に帰省したElli。この機会をまるでねらったように、親元で暮らすElli弟が水疱瘡なんぞにかかってしましました。

 Elli弟は、立派な中年。何ゆえ水疱瘡なんて子供の病気に 年甲斐もなく「ワンピース」のアニメなぞ、DVD録画までして観てるから?その昔、Elliがかかったときに、もらわなかった???とにもかくにも、高熱で病院に入院隔離の後、退院して参りました。その姿たるや、すでに髪の乏しい頭のてっぺんからつま先までかさぶただらけの惨状。普段の帰省なら、弟の休みの日に皆で近場の温泉に日帰りで出かけるのですが、さすがに今回はそうもいきません。毎日、家事にいそしんでいましたが、一日だけ息抜きに、山好きの父と高丸山に登ることにしました。

20110827_takamaru_01  高丸山は、上勝浦町にあるブナ林の美しい山。家から車で1時間ほどで、登山口に到着です。家の周りは晴れていたのに、山合いに入っていくにつれ雲が増え、登山口の空は白い雲がたれ込めています。でも、おかげで空気は冷んやり。標高は、すでに1,044m。納得の涼しさ。下界の蒸し暑さが、嘘のようです。

 ゆるやかな坂道を登っていくと、立派なブナの樹が姿を現します。「千年の森」と呼ばれる、高丸山麓の森。明るい緑の葉は、まるで新緑のよう。幹にキノコが生えている樹も。木立の合間から目指す高丸山の頂が覗いています。
 手洗い場を過ぎたところで、ブナの森とはしばしお別れ。杉林を上っていきます。20分ほど歩き、三つ尾の峠を越えたところで、ふたたび自然林の中へ。道ばたを、萩を思わせる紅い小花が彩っています。シコクママコナ。まるで小花の回廊のように、登山道の脇に、延々と咲いています。ヤマジノホトトギスも、随所に野趣のある花を咲かせています。

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 雲行きはますます怪しくなり、小雨が降ったり止んだり。でも、樹木の下なので、ほとんど濡れることもなく、涼しく快適。時折、眺望のある所に出ても、白い世界が広がるばかりなのは、残念

 2カ所ほど、岩がちな急坂を越えて(とはいえ、普通に歩ける程度)、山頂に到着。あいにくのお天気で眺望はありませんが、山気の涼しさが心地よく、それだけでもう天国。地上の蒸し暑さなど、思い返すもでうんざりです。晴れた日には、剣山まで望めますが、今日は一面の白い霞のなか、時おり切れ間から緑の山肌が覗くだけ。好天の日にまた来たいものです。

 お弁当を食べて、下山。復路は、往路と違って、天然林の中を緩やかにくだります。一面の霞のなか、木立がシルエットで浮かんでいます。息を呑むような、幻想的な光景。まるで、水墨画。

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20110827_takamaru_04 この天気でないと出会えない世界です。エベレスト女性初登頂で知られる田部井淳子さんが、「雨でも山に行きましょう。」と語っていましたが、その意味が分かりました

 降りるごとに霞が薄くなるのか、葉に色がつき始め、森が緑に戻っていきます。既に、朱く色づいた葉も。「旗立て」と呼ばれる、昔、伝達用の旗を立てた所を過ぎると、幹の肥えた、立派な樹容のブナが現れます。「千年の森」の名にふわさしい、時を感じる佇まいです。

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 雨の森を満喫して、3時間弱で登山口に戻りました。登山口から車を走らせると、左側に谷を挟んで、棚田を抱き、こじんまりとまとまった集落が目に入りました。「日本の里百選」に選ばれた、八重地集落です。せっかくなので、寄ってみることにしました。

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 まず、谷越しに集落を眺めた時に目に付いた、朱い立派な屋根。長泉寺のお堂でした。真言宗が席巻するこの辺りには珍しい、禅寺です。重要文化財の家があるというので、そちらに向かいます。

20110827_takamaru_07  田中家住宅。立て札がなかったら通り過ぎてしまいそうな、小さなトタン屋根の民家。ちょうど中からおばあさんが出てきて、雨戸を開けて座敷を見せてくれました。風格のある、黒々した梁が、年月を物語っています。お話では、徳島県で2番目に古い家で、1685年頃に建てられたそう。300年超、ということは、寿命300~400年といわれる高丸山のブナの木と、同じ年よく風雪に耐えたものです。
 八重地の里を後にして、あまり標高のない勝浦あたりまで降りてくると、夕刻なのに、空気は重く、暑く、不快。山の冷気と雨の森の風情、そして、美しい山里が、恋しくなる一日の終わりでした。

2011年8月21日 (日)

暑さ対策 実る!?

 思えば、今から遡ること2ヶ月前。 「暑さ対策 第1弾 プチグリーンカーテン」と銘打って、細々と植えた琉球朝顔。 数日前から咲き始めました。

 いつもは、太陽の方向に向かって健気にラッパを広げているのですが、曇り空の今日。何を思ったのか。きっと何も思ってはいないと思いますが、室内の方向に向かってラッパを広げています。 雨で太陽が出ていないので室内の明かりを太陽と思ったのでしょうか。

 ガラス越しに撮った朝顔です。

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 2ヶ月前には本当に小さかった(こちらを見てね)のですが、よくぞここまで成長したものです。

 しかし、これが本当に暑さ対策に役立っているかは、いささか ????? です。 それでも、やはり涼しげで心の清涼剤にはなっているのかなと思います。

 ところで、写真は今日のものではありませんが、Elli が作っている花壇も、暑い日差しにもめげずに頑張って咲いてくれています。

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2011年8月 7日 (日)

フェルメール再び 豊田市美術館へ

 うーん。 夏本番のはずなのに天気がすっきりとしません。 天気予報でも相変わらず

曇り時々晴れ、所により、にわか雨か雷雨、突風が吹くところもあるでしょう。

                ・・・

どう転んでも絶対にはずれないパーフェクトな予報です。 しかし、パーフェクトであるが故に行動を起こせない我々がそこにいました。 天気予報は本当に要るのだろうか? と真剣に考えてしまいます。 

 短い夏休みなので、伊吹山にでも登りお花畑を楽しもうか、あわよくば木曽駒ヶ岳にでも涼みにいこうか、と考えていましたが、狭いところと、人混みと、山の上の霧が最も嫌いな Taka としては、このような天気予報の下ではテンションが上がるはずもないというもの。「もう、寝正月ならぬ、寝夏休みでいいじゃん。」と思っていたところに、それはならじとElliが一枚のパンフレットを。 

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 そうです。8月4日に京都市美術館にフェルメールを観に行った際に Get してきたパンフレットには、「フェルメール、来たる」と銘打ってあります。

 Taka: 何、これ?

 Elli : 知らんかった? 愛知にもフェルメールが来てるよ。

 なんとも魅惑的なパンフレットでしょうか。京都のフェルメールも良かったですが、豊田市美術館で開催されているこの展覧会のパンフレットに描かれている一人の男性。Taka的には、強く引きつけられるものがありました。しかも会期は8月26日まで。 もう、これに行くしかありません。しかも、同じ愛知の名古屋市美術館ではレンブラントも来ているようです。 ということで、この夏休みは、

         芸術の夏。 フェルメールの夏。 オランダの夏。

とすることにしました。

 なんでも前日に美術館に電話をいれたところ、お昼を過ぎると270台分の駐車場が満車となる可能性があること。 これは朝一番に行くべしと、6時にお家をでて一路豊田へ。そして、顕れたるが目的の豊田市美術館です。

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 やっぱり流石ね。と思わせてくれる立派な美術館です。開館30分前でしたが既にチケットを購入するために並んでおられる方もいます。

 お目当てのフェルメール「地理学者」 素晴らしい絵でした。現存しているフェルメールの36枚の絵の中でたった2枚の男性を描いた絵の1枚。 これまで観てきた女性の絵にも感動を覚えましたが、この絵に潜んでいる精神性には圧倒されました。学者の視線の先にあるものを想像するだけで自らも遙かなる思いにふけることができます。それにフェルメール独特の構図と光の設計。“設計”などと言うと怒られてしまうかも知れませんが、フェルメールの絵には深遠な設計があるように思えてなりません。捨てられたように無造作に置かれている物ですら構図に安定感や安心感を与えてくれる・・・ Takaも技術者の端くれとしてこのような設計センスを身につけたいものです。

 たっぷりと絵画を楽しんだ後は、併設されているレストランでフェルメール展特別ランチ「舌平目のグリル キャベツとりんごのオランダ風ロデコール添え」をいただきました。とても美味しくお得な料理でした。ちょうどお昼時でしたので、美術館は並ぶことなく(実際には開館されるまで、30分待ちましたが)入れましたが、こちらは大盛況で座席に座れるまで30分待ちでした。

20110807_vermeer_03 豊田市美術館を後にして向かったのが「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」展が開催されている名古屋市美術館です。

20110807_vermeer_04 レンブラントといえば、これまで主に油絵しか観たことがなかったのですが、この展覧会では、数多くの版画が展示されていました。

 確かにモノクロームの世界である版画。まさに、光の探求、闇の誘惑の世界です。インクの濃淡だけで、ここまでの表現ができるのかと、これまで抱いていた版画への認識が大きく変えられました。

 レンブラントは、資産家の娘サスキアを妻に娶り、自らが描いた絵画や版画が高額で売れていたにも関わらず50歳で破産したそうです。 何でも、絵の題材となる品物を世界中から収集したことがその原因だそうです。物事を極めようとした者の執念みたいなものを感じました。

 最初、一日でビッグな展覧会2つは体力的に厳しいかなとも思っていましたが、素晴らしい絵画は、全く疲れを感じさせず、清々しい気分だけを残してくれました。

 名古屋市美術館に閉館まで楽しんだ後、「あつた蓬莱軒」というお店で名古屋名物「ひつまぶし」を食べました。お店の前には長蛇の列ができており、ここも座席につけるまで40分程度は待ちましたが、香ばしい香りが素晴らしい待った甲斐のある味でした。

 最初の計画とは違った夏休み・・・ 嬉しい誤算の夏休みとなりました。

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2011年8月 4日 (木)

フェルメールからのラブレター展

 Takaの会社には、お盆休みというものがありません。でも、Elli両親の暮らす四国へのお盆の帰省は恒例行事。例年、阿波踊りとひっかけてたのですが、今年は趣向を変えて、剣山でちょうど花の見頃を迎えるキレンゲショウマを見に行く予定で、この4日、5日に休みを取り、4連休にしていました。ところが・・・先月やってきた台風で、剣山への3つのルートのうち、我々が使うはずだった道路が崩れて、工事中になってしまったのです。他のルートは、Elli実家に寄る際の地の利や、道路状況の悪さから、あえなく却下。今回の帰省&剣山キレンゲショウマ鑑賞登山は(どちらが主目的?)、計画倒れとなってしまいました

20110804_vermeer_01  帰省は、8月下旬Takaの一週間出張に合わせてElli一人帰ることが決まっているので、それでいいのですが、せっかくの4連休。帰省しないならしないで、どこか涼しい所に遠出したいところですが、悲しいかな、太平洋高気圧がどこかに引き込もってしまい、おまけに沖縄に台風どころか、小笠原沖にプチ台風まで発生し、天気が今ひとつ不安定。とりあえず、初日は「平日のお休み」の利を生かして、京都市立美術館の「フェルメール展に行くことにしました。

20110804_vermeer_02 展覧会の前に美術館近くでお昼を、と老舗の蕎麦屋「阿国庵」に行ってみると、長期休業。すぐ近くにある、前に食べて美味しかった「山元麺蔵」も定休日。どうしよう、と思ったら、隣の「京うどん生蕎麦おかきた」なるお店に、行列が出来ています。お品書きを見たら、こちらもこだわりの麺で、美味しそう
店に入ると、和モダンのセンスの光る、とてもお洒落な内装。Takaはきつねうどん、Elliはせいろ蕎麦を注文。白山麓のお蕎麦は、つるつるなめらか。かつおの出汁がよく馴染みます。繊細で上品なのに、蕎麦の風味が核にあり、味のよくまとまった、美味なるお蕎麦です。Takaのきつねうどんは、麺は細く、やはりつるつるなめらか。柔らかな麺が、鰹のよく効いた出汁と一体となり、さらに、上品な甘さに仕上がったお揚げと一体となって、まさに絶妙のハーモニー。Taka「これぞ理想のうどん」と大絶賛。さらに、「讃岐うどんって、何?あんな堅いの、麺でなくてガムだわ。」(なんと偏った味覚でしょう。By四国人。)

20110804_vermeer_03 さて、フェルメール展です。事前にネットで混雑状況を見たところ、ずっと「待ち時間0分」が続いています。てっきり空いていると思い込んでいたら、待ち時間こそないものの、そこそこ盛況。といっても、絵の前に二重三重の列が出来るようなことはなく、ずっと一列で、ちょうどしっかり見ることが出来るペースで列が流れていきます。

 展覧会のテーマは、「コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ」。フェルメールと同時代の絵画43点を、「1.しぐさ、視線、表情」「2.家族」「3.職業、学術的コミュニケーション」「4.手紙」の4つに分け、当時の事情も織り交ぜて、分かりやすく解説してくれていました。

 印象に残ったのは、フェルメールと同じ時期にデルフトで活躍したピーテル・デ・ホーホの《室内の女と子供》。簡素な部屋で閑かな陽に照らさし出される、母と子供。柔らかな筆致で、フェルメールに通じる、穏やかな美しさが画面を支配します。ちなみに、図録によると、母親が子供に手渡している水差しはドイツ製で、中身は多分ビールだそう。当時は水が飲料に出来ず、子供もビールを飲んでいたとか。Takaには、うらやましい話です。また、子供はドレスを着ていますが、実は男の子。当時は、トイレの躾けのため男の子も7歳頃までドレスだったとか。いろいろ面白い事実が学べます。

 レンブラントのお弟子さんの絵も、何枚かありました。リーフェンス《机に向かう簿記係》は、筆の持ち手側の先で引っ掻いた髭と髪の毛の、細かな質感が見事。年老いた人物が経てきた人生まで思わせる、哀愁ある表情が心に残ります。フェルディナント・ボル《本を持つ男》は、厳格な顔付きに白く輝くような肌、黒いベレーと上着、帽子の縁と上着の襟と袖の金色が、端正なコントラストをなしています。いずれも、描かれた人物の内面奥深くを照射するような瞑想的画風が、レンブラントを彷彿とさせます。

 フェルメールの三枚の絵は、最後の一室にまとめて展示されていました。

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 1枚目は、ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵《手紙を書く女》。手紙を書く途中で、顔を上げてほほえむ裕福な女性は、上着の明るい黄色と、毛皮の縁取りの白をまとっています。その色の柔らかな質感と美しさ。髪を飾るサテンのリボンと、机の上に無造作に置かれた真珠の輝きも、心憎いです。不思議なことに、この女性の視線は、観る者が立ち位置を変えても、ずっと付いてきます。試しに、右から左へ、左から右へ、遠巻きに立って動いてみましたが、うら若き魅惑の佳人は、ずっとこちらを見つめています。非常によく計算されています。

 2枚目は、アムステルダム国立美術館蔵《手紙を読む青衣の女》。Elli、10?年前に行ったときに観た記憶が、漠然としかありません。きっと同時に観た《牛乳を注ぐ召使い》の、堂々たる存在感と鮮やかな色彩に圧倒されて、存在が霞んでしまったと思われます。改めて観ると、ドレスの上着の柔らかな生地の感触と、押さえた青の色合いが繊細で、手紙を読む女性の姿に、いっそうの閑静さを与えます。画面の左上から注ぐ白い光に照らされ、一心に手紙を読む女性を見つめるうちに、絵を見ている自分も女性といっしょに閑かな時に没入していくようです。時そのものの存在を感じます。

 3枚目のアイルランドナショナル・ギャラリー蔵《手紙を書く女と召使い》は、以前、東京で観たのと同じ絵。3枚の中では、主題がもっとも劇的なためか、光と色彩のコントラストは、ひときわ鮮やか。窓から射す光の白さと、窓辺に立つ召使いのドレスの濃いグレー、女主人が座るテーブルのクロスの紅、その手前の椅子の座面の青、タイルの鮮明な白黒の、コントラスト。何度観ても、引き込まれます。

 フェルメールの作品だけでなく、展覧会全体として、よくまとまった、充実した内容でした。美術館を出た後は敷地内の喫茶店で、夏の楽しみ、かき氷と冷やし白玉ぜんざいで憩い、帰途に着いたのでした

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