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2010年5月30日 (日)

フィリップ・アントルモン ピアノ・リサイタル

 5月最後の休日。Elli、以前に働いていた職場の同僚からお誘いを受け、Takaを家に一人残し、京都コンサートホールのピアノ・リサイタルに出かけました。弾き手は、フランスの巨匠フィリップ・アントルモン。
 アントルモンといえば、10年近く前、たまたま目にしたNHK「スーパーピアノレッスン」の一場面モーツァルトをベートーヴェンのような音で弾く生徒に、とても厳しい叱咤。あの曲にあの音ではそれもしかたないのですが、先生のあまりの怖さに(?)すぐチャンネルを変えたものです。それ以後アントルモンと聞くと「あのとても怖~い先生」と思ったものですが、まさか実際に聴きに行く日が来るとは・・・
 20100530_entremont_01 恐れを成して(?)ネットで検索してみると、演奏会での感想に「アントルモンは、優しい方で」という文が多数。ほっ、アントルモン先生、本当は優しい人柄のようです。ついでに、ネット動画などで演奏を試聴。・・・なんと流麗で、洒落た演奏。これぞフランス流、です。俄然、待ち遠しくなりました。
 話しを当日に戻して、一年ぶりに会った友人と、北山通りから北に入った、閑静な通りにある家庭的なイタリア料理店「イル・マーレ」でスパゲッティとピッツァを頬張りながら、懐かしくおしゃべりに興じた後、コンサート会場へ。本日の演目

 
第1部「アントルモンが選んだ珠玉の名曲集」

  • ベートーヴェン作曲  ピアノ・ソナタ第23番「熱情」
  • ドビュッシー作曲  「ベルガマスク組曲」より「月の光」
  • ドビュッシー作曲  「ピアノのために」より「トッカータ」
  • ラヴェル作曲     亡き王女のためのパヴァーヌ
  • ラヴェル作曲    「鏡」より「道化師の朝の歌」
     

第2部「ショパン生誕200年によせて」

  • ショパン作曲    バラード第1番
  • ショパン作曲    幻想即興曲
  • ショパン作曲    ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」
  • ショパン作曲    ノクターン第8番
  • ショパン作曲    スケルツォ第2番    

 ドイツ系古典、フランス印象派、ロマン派ショパンと、名曲がバランスよく並んでいます。これだけでもピアニストの力量が伺えます。今年がピアニストデビュー60周年とか。楽しみです。
 1曲目ベートーヴェン「熱情」。第1楽章の早いパッセージはミスタッチが多く、音がかなり飛び、少し心配になりましたが、第2楽章は穏やかな旋律をゆったりと美しく歌い上げ、これがウォーミングアップとなったのか、その後はまるで別人のような演奏。第3楽章は力強いタッチで、高速で怒濤のようなベートーヴェンの世界。とても70代とは思えない技量と力です。
 本当に素晴らしかったのは、その後に続くフランス物とショパンの作品。ドビュッシーとラベルでは、澄んだ光のような明るい音に、エスプリあふれる軽妙な表現。「月の光」は言うまでもなく、「亡き王女のためのパヴァーヌ」では、涙が出そうになりました。中でも、「道化師の朝の歌」は、ベートーヴェンのソナタでも繰り出された迫力のタッチと、哀愁ある洒脱な表現が、切り替えも実に鮮やかで、圧倒的でした。
 軽やかな明るい音色と、洒落た歌い口、そして力強いタッチは、ショパンでも存分に発揮されました。バラード、ノクターン、スケルツォは、強弱のメリハリと歌い分けの効いた、品格ある名演。そして、「華麗なる大円舞曲」の、絶妙な味付け。華やかさだけが先に立ってしまいがちな曲ですが、洒落ていながら気品があり、心憎いばかりでした。
 全体的に早めのスピードで、なおかつ美音。軽妙洒脱でありながら、備わった気品に、巨匠の風格があふれていました。アンコールのショパンのワルツ第2番と練習曲「革命」でも、再びその音と技を堪能できて、聴衆への嬉しい贈り物でした
 残念だったのは、拍手のタイミング。聞き慣れない人の割合が多かったのか、場内アナウンスで「楽章の切れ目では拍手をしないよう」注意が流れたものの、小品が続く場面では1曲ごとに拍手がわき起こります。名演をたたえるようでいいのですが、タイミングが早すぎて、音が鳴り終わらないうちに拍手が始まってしまうのです。アンコールの「革命」に至っては、最後の締めの4音のうち最後の1音を残して弾くのを止めざるを得ない始末。これには、アントルモンも苦笑していました
 クラシックのマナーも、初めてだと中々分かりにくいもの。今回のプログラムは一曲ごとの所要時間の記載があるという、非常に親切な作りでした。もう一文、音が完全に鳴り終わってから拍手するよう追記があると、弾き手にも聴き手にも、さらに親切かも

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